731部隊を多角的に見る 医師の人生など舞台、映画、講演で:東京 - 東京新聞(2015年11月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201511/CK2015111102000177.html
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戦時中に旧満州などで人体実験や細菌戦をした陸軍の七三一部隊について考えるイベント「七三一の記憶」が十四日、大田区民ホール「アプリコ」で開かれる。部隊の医師の人生を描いた舞台「七三一の幻想」が上演されるほか、ドキュメンタリー映画や講演などがあり、七三一部隊を多角的に見つめる内容となっている。 (飯田孝幸)
舞台を上演するのは新宿区の劇団「虹企画/ぐるうぷシュラ」。一人の善良な医師が七三一部隊に入ることで、異常な世界に慣れてしまい、ついに人体実験に関わってしまう。戦後もその過去から逃れられず−という物語で、推理作家の檜山良昭さん(72)の小説「細菌部隊の医師を追え」を、劇団の女優で脚本も手掛ける三条三輪さんが脚色した。
「七三一の幻想」の初舞台は約三十年前。三条さんはそれ以前に、空襲や原爆、沖縄戦など戦争をテーマにした舞台を上演していたが、その過程で七三一部隊について知った。そんな時に檜山さんの小説に出会い、「それまでの舞台は被害者の苦しみを取り上げていた。加害者の苦しみを芝居にしたらどうか」と思い、七三一部隊を舞台化した。
女優業の傍ら医師としても診療を続けている三条さんは「部隊を告発するのではなく、医師の苦悩や、医師を殺人者としてしまう戦争の怖さを描きたかった」と話す。
イベントでは、舞台のほかに七三一部隊の少年隊員だった篠塚良雄さん=昨年四月死去=の証言を記録したドキュメンタリー映画も上映される。侵華日軍七三一部隊罪証陳列館の金成民(せいみん)館長、大東文化大の田中寛教授、ジャーナリストの近藤昭二氏が講演する日中フォーラムもある。
主催団体の一つNPO法人七三一部隊・細菌戦資料センター」の奈須重雄さん(64)は「部隊にいた医師の多くが戦後、医学界の主要なポストについた。このことがどんな影響を残したのか、日本にとってどうなのか、きちんと整理すべきだ」と話す。
イベントは午後一時からで、映画(午後一〜二時)、フォーラム(午後二時十分〜四時)、演劇(午後六〜八時)の順。参加費二千五百円(高校生以下無料)。
問い合わせはメール(nasu1855@gmail.com)で。