長崎でパグウォッシュ会議開幕 科学者ら米ロの核抑止論を批判 - 東京新聞(2015年11月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201511/CK2015110202000109.html
http://megalodon.jp/2015-1102-0914-55/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201511/CK2015110202000109.html

核兵器と戦争の廃絶を目指す科学者らの国際組織「パグウォッシュ会議」の第六十一回世界大会が一日、長崎市で始まった。原爆投下から七十年の節目に、約四十カ国の科学者や政府高官ら二百人近くが参加。日本では広島市で二回行われているが、長崎市での開催は初めて。米ロの軍縮担当高官が従来の核抑止論を繰り返したのに対し、批判が続出した。 
長崎大で開かれた全体会議で、科学者らは核兵器の存在を「人道に対する罪」などと指弾。早期廃絶への意思を鮮明にした。
だが、米国のフリード国務次官補代理とロシア外務省のウリヤノフ不拡散・軍備管理局長は、双方とも「安全保障上、核兵器は必要で急な削減は現状では困難だ」などと主張。会場の科学者らからは核廃絶に後ろ向きな両国の姿勢に「軍縮はもっと進められるはずだ」と批判が出た。
全体会議に先立ち、参加者は午前中に、爆心地に近い平和公園平和祈念像前で献花し、長崎原爆資料館へ。パグウォッシュ会議は一九九五年にノーベル平和賞を受賞しているが、会議のダナパラ会長らは「核軍縮に向けた被爆者の長年の努力に敬意を表する」として、平和賞のメダルの複製品を長崎市の田上(たうえ)富久市長と広島市の担当者に手渡した。
その後、長崎市語り部活動をする被爆者の山脇佳朗さん(81)と対話。山脇さんは英語で「戦争のない世界をともにつくりましょう」と呼び掛けた。世界大会は五日まで。
パグウォッシュ会議> 各国の科学者が集まり、核兵器の拡散防止や廃絶に向け話し合う国際会議。米国のビキニ水爆実験に脅威を感じ、科学者の結集を呼び掛けた英国の哲学者ラッセルが提案し、湯川秀樹ら世界の著名な科学者10人が連署した1955年の「ラッセル・アインシュタイン宣言」がきっかけ。宣言を具現化するため、57年にカナダ・パグウォッシュ村で初会合を開いた。