(私説・論説室から)増税先送りでダブル選か - 東京新聞(2015年10月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2015102602000137.html
http://megalodon.jp/2015-1026-1512-40/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2015102602000137.html

景気の不透明感が濃くなってきた。来月発表される二〇一五年七〜九月期の国内総生産(GDP)速報値は前期に続いて二期連続でマイナス成長になる、という見方もある。
そうなれば、定義により景気後退(リセッション)だ。消費税を8%に引き上げた悪影響に加えて、中国のバブル崩壊が輸出減という形で日本経済を直撃する。中国人観光客の爆買いもいずれ勢いが止まるだろう。
前回コラムで一七年四月に予定される消費税の10%引き上げは見送るべきだと書いたが、その後の景気情勢をみても再増税はますます難しくなった、とみていい。
となると、次の焦点は来年七月に予定される参院選の扱いだ。ずばり選挙は参院選単独ではなく、衆参ダブル選になる可能性が高まってきたのではないか。
再び増税先送りなら与党に追い風になるのは間違いない。加えて野党はてんでばらばら、内閣支持率も回復しているからだ。
民主党は再増税をどう考えるだろうか。もともと増税野田佳彦政権がまとめた話だった。だからといって「断固増税すべし」論で突っ走ると、与党は先送りで対抗しやすくなる。政策の対立軸がはっきりするから、ますますダブル選に傾斜するだろう。
民主党増税先送りを唱えるのだろうか。ここは民主党にとっても、悩ましい展開と推察する。 (長谷川幸洋