安保法を問う 国会は歯止めとなるか - 東京新聞(2015年10月23日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015102302000168.html

集団的自衛権の行使で防衛出動を命じる際には原則、事前の国会の承認が必要だ。だが、前提となる事態の認定に「特定秘密」が含まれる場合はどうか。国会は歯止めとなる役目を果たせるのか。
「政府に行き過ぎがあれば、国会が歯止めをかける」「自衛隊の派遣を命ずるときは政府のみならず国会の判断も仰ぎ、民主主義国家として慎重の上にも慎重に判断する」−。
安全保障関連法の国会審議では、安倍晋三首相らは繰り返し、このようなフレーズで、民主的統制を強調してきた。「国会承認」という民主的な手続きを踏むことで、一般的に防衛出動をコントロールできると解される。
だが、存立危機事態や重要影響事態で自衛隊を派遣するときは、日本の領土の外で切迫した軍事的事態が進行しているときだ。集団的自衛権の本質は他国の戦争に参加できることだから、まず、その「他国」からの情報などが、特定秘密保護法に基づく「特定秘密」にあたることが考えられる。
このことは、中谷元・防衛相が七月の国会答弁で認めている。「事態の認定の前提となった事実等に特定秘密が含まれる場合も考えられる」としたうえで、「そのような場合は、特定秘密にかからないようにする形で国会や国民の皆さんに事実認定の根拠をお示しすべきと考えております」と回答したのだ。
「特定秘密にかからないようにする形」とは、いかにもあいまいな表現である。特定秘密を国会の限られた「秘密会」に提示できる定めはあるが、むしろ具体的な重要情報を隠したまま、抽象的な表現にして国会に説明する懸念がぬぐえない。
事態の認定という重大場面で、情報に覆いをかけられては、適切な判断ができるはずがない。国会議員が十分な情報を得ない限り、国会の歯止めは期待できない。確かに国会の「秘密会」に情報提供される場合も考えられるが、そのとき国会議員は内容を漏らしてはならない定めだ。国民まで情報は届かない。
特定秘密保護法では「自衛隊の運用」さえ特定秘密に指定できる。もちろん「武器、弾薬の種類や数量」なども秘密にできる。集団的自衛権自衛隊がどのような活動をしたのか、事前チェックも事後チェックも困難ではないのか。国会はたんなる政府の追認機関ではむろん、ない。