沖縄県「国の手続きは不当」 辺野古 政府の不服審査請求 - 東京新聞(2015年10月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201510/CK2015101502000137.html
http://megalodon.jp/2015-1015-1749-10/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201510/CK2015101502000137.html

沖縄県の米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)移設問題をめぐり、県による名護市辺野古(へのこ)沖の埋め立て承認取り消しに対し、政府が行政不服審査請求などの対抗措置を講じた十四日、沖縄県議会では米軍基地関係特別委員会が開かれ、基地問題担当の町田優知事公室長は「国が個人の権利、利益の救済を目的とした法律を使うのはいかがなものか」と批判した。 (生島章弘)
特別委には翁長雄志(おながたけし)知事は出席しなかったが、県側は、新基地建設の事業者である防衛省沖縄防衛局が「私人」の立場で、承認取り消し処分の無効を訴えることはできないと指摘。政府の行為の不当性を主張していく考えを示した。
県政与党の県民ネットの玉城義和氏は、埋め立て承認取り消しが法廷闘争に持ち込まれることへの感想を求め、町田氏は「そもそも七十年も過重な負担をしていることが原点だ」と、県側の正当性を主張。「国民世論への訴えに全力で取り組んでいきたい」と述べた。
共産党の嘉陽宗儀(かようそうぎ)氏は「沖縄防衛局による行政不服審査請求が適法でないなら、国土交通省に受理撤回を申し入れる必要がある」と求めた。
一方で、県政野党で自民党の又吉清義(せいぎ)氏は、仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事の埋め立て承認について、当時の県側が「瑕疵(かし)はないと言っていた」と県の対応の整合性を追及。同党の照屋守之氏も「今のような取り組みでは、辺野古はおろか普天間(の危険除去)も解決しない」と、政府と対立する翁長氏の姿勢を批判した。
沖縄県議会(定数48)の会派構成> 現在8会派と議長を含む無所属4人の計47人で構成。欠員1。社民・護憲ネット(8人)、県民ネット(7人)、共産党(4人)、沖縄社会大衆党(2人)、うまんちゅの会(2人)の5会派計23人が翁長県政の与党となっている。最大会派の自民党(13人)は唯一の野党。公明党・県民会議無所属(5人)は基地問題自民党と歩調を合わせておらず、維新の党(2人)とともに中立の立場を取っている。
◆県議会特別委やりとり
十四日に開かれた沖縄県議会米軍基地関係特別委員会で行われた米軍普天間飛行場移設問題をめぐる主なやりとりは次の通り。
【又吉清義氏(自民党)】仲井真弘多前知事時代に設置された県議会百条委員会で、県は埋め立て承認に瑕疵はないと説明していた。
【県側】当時の考え方を述べた。その後(有識者による)第三者委員会からの検証結果報告を精査した結果、承認取り消しが相当と判断した。
【照屋守之氏(自民党)】第三者委には、(新基地建設)反対派の集会に出て「必ず法的瑕疵を見つけないといけない」と言ったメンバーがいる。検証が公平、公正ではない。
【県側】あくまで客観的に、公正な立場で任務を果たした。
【当間盛夫氏(維新の党)】知事の埋め立て承認取り消しで工事は止まるのか。
【県側】現時点では作業はできないと考えている。
【玉城義和氏(県民ネット)】知事の埋め立て承認取り消し処分が、行政不服審査や裁判に移ることに対する所感は。
【県側】そもそも七十年も過重な基地負担をしている。県と政府で幾たびか話し合いをしている中でも、0・6%の国土に74%の米軍専用施設がある現実が一向に解消されないという基地問題の現状が原点にある。
【嘉陽宗儀氏(共産党)】沖縄防衛局による行政不服審査請求などが適法でないなら、国土交通省に受理の撤回を申し入れる必要がある。
【県側】「受理するな」と言うのが可能なのか検討しなければいけないが、国が個人の権利、利益の救済を目的とした法律を使うのはいかがなものか。今後の手続きの中で(政府の対抗措置の)不当性を主張していきたい。
【新里米吉氏(社民・護憲ネット)】知事が第三者委の報告を受けて埋め立て承認を取り消したというのは違うのではないか。
【県側】そのままうのみにしたわけではなく、内容をきちんと精査した上で、県の判断を加えて取り消しに至った。
【比嘉京子氏(沖縄社会大衆党)】政府とは基地問題のとらえ方にギャップがある。どう世論に迫るのか。
【県側】国民の世論を動かさないとなかなか基地問題は動かせないと理解しているので、どうやって訴えていくかは大事な仕事として全力で取り組んでいく。
【吉田勝広氏(公明党・県民会議無所属)】辺野古沖の臨時制限区域についての説明を。
【県側】埋め立て工事施工区域の外周に囲まれる区域が工事完了の日まで、常時立ち入りが禁止される臨時制限区域になっている。