満州からの絵手紙 横浜で企画展「戦争が奪ったもの」:神奈川 - 東京新聞(2015年10月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201510/CK2015100902000168.html
http://megalodon.jp/2015-1009-0919-05/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201510/CK2015100902000168.html

一九四二年に満州(現・中国東北部)に出征し、終戦後の四五年九月に捕虜として輸送中にトラックの荷台から転落死した矢野金治氏が、日本にのこした家族にあてた絵手紙などを紹介する企画展「戦後七十年−戦争が奪ったもの をたどる」が、横浜市青葉区のスペースナナで開かれている。十八日まで。 (志村彰太)
矢野氏は秋田県出身で、陸軍に召集される前は警視庁の警察官だった。旧満州に行った後、フィリピン・ルソン島に移り、娘の成長を見ることなく三十五歳で亡くなった。この間、たびたび母光子さん(故人)と長女の宮崎黎子さん(73)=東京都足立区=に手紙を送っていた。出征したとき、宮崎さんは一歳。「子どもにも分かるように、絵を付けてくれたんだと思う」と話す。
絵手紙のほか、写真など二十点を展示。宮崎さんの成長した姿を想像し、小さい子どもが手紙をポストに入れる様子や読書する様子を描いている。いずれも柔らかなタッチと色づかいで、「後楽園のサーカスは面白かったろう。黎子の喜ぶ様が見える様な気が致します」などの文章に、矢野さんが子どもに思いをはせているのがうかがえる。
「私に会えないまま亡くなるとは、本人も思っていなかったと思う」と宮崎さん。まだ手紙は大量にあり、達筆な文章をじっくり「解読」していくという。
会場では、静岡県国民学校教師となったが、徴兵され、入営を前に二十歳で自ら命を絶った寺尾薫治(のぶじ)氏の体力手帳や徴兵検査通達書、本人の写った写真も並ぶ。十日午後二時からは、寺尾さんの弟絢彦さん(76)によるトークイベントがある。参加費は千円、要予約。問い合わせは、スペースナナ=電045(482)6717=へ。

戦後70年<戦争が奪ったもの>をたどる「学徒出陣を前に自死した兄」
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