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中北氏は安倍首相の政治家としての思考は、自民党の党勢が衰える中にあって、いかに民主党に太刀打ちするかが常に最大の課題となっていると指摘する。民主党に対抗するため、自民党は自らの理念を点検して新たに綱領を定め、憲法改正草案を取りまとめるなど、新たな路線を模索する必要に駆られた。このとき、リベラル路線をとる民主党に対抗するために何が必要かを考えた時、理に適った選択が、現在のタカ派路線であり右寄り路線だった。民主党こそが現在の安倍政権を生んだ張本人と言っても過言ではないと中北氏は言う。
しかし、自民党の体質的な変質については、安倍晋三という政治家自身に起因するところが大きいと中北氏は言う。安倍政権はこれまで禁じ手とされてきた領域にも躊躇うことなく手を付けた。それが、NHKの経営委員会の人事であり、内閣法制局長官の人事であり、メディアへの介入であり、強硬な国会運営だった。
今後、現在の安倍政権の”タカ派・なんでもアリ”路線が、自民党にどの程度安定的な政治基盤を提供できるかは今のところ未知数だ。現に最近の選挙結果を見ても、自民党の得票は決して増えてはいない。それでも自民党が政権与党の座に居続けられるのは、一重に野党が分裂しているためだと中北氏は指摘する。
自民党がこのまま右寄り路線を突っ走ることになるか、交互のリベラル色の強い政権が誕生するかどうかは、民主党が再生できるかどうかにかかっていると中北氏は言う。民主党が党勢を挽回できなければ、自民党は無理に右に寄る必要はなくなるため、合間合間にかつてのようなリベラル穏健派の政権が誕生することもあるかもしれない。しかし、もしまた民主党や、リベラル路線を掲げる別の野党勢力が台頭してきた場合、自民党が右に寄るのは必然の帰結となる。