安保法案:「俺は席を立たない」…鴻池委員長独特の存在感 - 毎日新聞(2015年9月17日)

http://mainichi.jp/select/news/20150917k0000e010186000c.html

◇続く与野党の攻防、その背景に
安全保障関連法案をめぐる与野党の攻防は17日午前も続いた。背景には、民主党など野党の抵抗が強かったことに加え、円満な議事運営を目指した鴻池祥肇委員長(自民)の独特の存在感がある。
16日夜から17日未明にかけ、衆参の野党議員が参院の廊下を占拠した。野党の女性議員が壁になり、与党の男性議員に対して「触るな」と抵抗。理事会室と委員会室の行き来が難しくなり、鴻池氏が理事会室に閉じ込められる形となった。参院自民幹部は「野党が衆院議員まで動員するとは思わなかった。読み誤った」とうなった。
17日になると、野党議員の数も少なくなった。週内の成立方針を固めている与党としては強行突破も可能だったが、鴻池氏は「理事全員が委員会室に行けない限り、俺は席を立たない」と理事会室にとどまった。
円満な形での採決を目指して野党にも配慮したが、強行採決も辞さずの方針だった参院与党議員からは「委員長は王道を行きたいと言っている。委員会室入りを誰にも邪魔されたくない。美学だろうが迷惑だ」との声が漏れた。
鴻池氏はこれまでも野党の要求を受け入れ、採決の前提となる中央公聴会の開催が決まった後に、16日の地方公聴会を設定したこともあった。
民主党榛葉賀津也参院国対委員長は17日未明の記者会見で、「(鴻池氏は)国民の声に理があると思って強引に委員会を開会しなかったのだろう。ほめるつもりはないが当然のことを判断された」と述べ、鴻池氏を持ち上げた。ただ、17日午前に鴻池氏が特別委の開会を宣言すると、野党は鴻池氏の不信任動議を提出。鴻池氏は与党筆頭理事に職務を委託し、机をたたいて委員会室を後にした。【高橋克哉、村尾哲】