集団的自衛権 ホルムズ掃海「想定せず」 首相、代表例を自ら否定 - 東京新聞(2015年9月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015091502000120.html
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安倍晋三首相は十四日の安全保障関連法案に関する参院特別委員会で、中東・ホルムズ海峡での戦時の機雷掃海について「現在の国際情勢に照らせば、現実の問題として発生することを具体的に想定しているものではない」と述べた。国会審議で繰り返し取り上げてきた集団的自衛権行使の代表例を、自ら否定したことになる。
公明党山口那津男代表が、ホルムズ海峡のシーレーン海上交通路)はイランとの対話で確保するべきだと質問したのに対する答弁。首相は、イランが海峡を機雷封鎖する可能性がないことを認めた。
一方、法案の条文の上では、集団的自衛権を行使して機雷を取り除くことは可能だとの考えを強調した。
首相がホルムズ海峡での機雷掃海の現実性を否定したのは、原油を輸入しにくくなるといった経済的な理由による海外派兵に否定的な維新の党など一部の野党から、法案採決への協力を取りつける狙いがある。だが、これまでの説明と整合性がなく、法案を必要とする根拠も崩れたとして、追及される可能性もある。
首相は安保法案が五月に衆院で審議入りして以降、イランによる海上封鎖を念頭に、機雷掃海の必要性を強調していた。
しかし、イランと欧米など六カ国の核問題最終合意や、日本と伝統的に友好関係にあるイラン政府の反発を踏まえて、七月には「特定の国が機雷を敷設することを想定していない」と軌道修正した。