弁護士と離婚テーマの劇熱演 子の気持ちを伝えたい - 東京新聞(2015年8月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015081902000245.html
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離婚や再婚をめぐる裁判でのやりとりの中で、置き去りにされがちな子の気持ち。その寂しさや願いを知ってほしいと、弁護士や親が離婚した子どもたちなどがオリジナルの劇「もがれた翼パート22 家族のカタチ」を二十二日、東京都北区の赤羽会館で上演する。劇には、子どもが家庭裁判所の調停に参加できる制度の紹介も盛り込み、制度活用の啓発も狙っている。 (竹上順子)
「お別れの理由をちゃんと説明してほしい」「別々に暮らすようになっても両方の親と会いたい」
劇は小学六年の「コトミ」と高校一年の「キリコ」姉妹が、両親の離婚や再婚に戸惑いながらも、自分の納得いく生き方を選んでいく物語。初めは「パパとママが決めること」と気持ちを抑えていた二人だが、周りの大人たちに支えられて、本当の思いを伝えられるようになっていく。
公演は、東京弁護士会が「子どもの権利条約」批准を機に、二十一年前から主催。今回は弁護士や子どもら十八人が出演する。
十二年前から脚本を担当する坪井花梨(かりん)さん(32)は、虐待を受けた子どもが避難する、子どもシェルターを運営する社会福祉法人「カリヨン子どもセンター」の事務局長。
親子が互いに相手を気遣って本心を言えなくなることなど、毎回、自分が接したり、弁護士らに聞いたりした事例を織り込み、希望の持てる物語を描いている。
今回の劇では、離婚や面会交流などの調停や審判で、子どもの意見を聞くため二〇一三年一月に始まった制度「子どもの手続き代理人」を務める弁護士が重要な役割を担う。
日本弁護士連合会などによると、年間二十万件以上ある離婚のうち、親権や親子の面会交流などをめぐる裁判・調停は昨年四万千六百三件に上った。しかし、制度の利用は導入以降、全国で十七件しかない。日弁連は、中立な立場の家裁調査官だけでなく、さらに子どもに寄り添う立場の弁護士が付いた方が、子どものために有効だとしている。劇では、こうした制度を多くの人たちに知ってもらおうと、主人公の家族の飼い猫たちが分かりやすく説明する。
コトミを演じる中学三年の安達麻衣菜(まいな)さん(15)は自身も幼いころに両親の離婚を経験。昨年の公演を見て出演を希望した。
父親の顔を覚えておらず「話に出てくる『面会交流』はいいなと思った」と話す。
シェルターの存在も初めて知ったといい、公演を「私と同年代の子や、親の仲が悪いという子に見てほしい」と呼び掛ける。
子どもの手続き代理人を務めた経験のある弁護士の渡辺淳子さん(61)は「自分は独りぼっちだと考える子は多いが、真剣に子どものことを考える大人が存在すると知ってほしい」と力を込める。
出演者で弁護士の安藤万里子さん(33)は「離婚や再婚が駄目なんじゃない。どうすれば子どもの気持ちを大切にできるか考えるきっかけにしてほしい」と話す。
入場無料。昼の部は午後三時半、夜の部は同六時半開演(開場は各三十分前)。全自由席。問い合わせは、東京弁護士会人権課=電03(3581)2205=へ。
子どもの手続き代理人 子どもが家庭裁判所の審判・調停に参加し、意見を表明するのを援助する弁護士。2013年の家事事件手続法施行で制度が始まった。参加できるのは離婚調停や面会交流、親権者の指定・変更など、子に直接影響する調停や審判。

もがれた翼 Part22「家族のカタチ」
http://www.toben.or.jp/know/iinkai/children/tsubasa/post_22.html
日時
2015年8月22日(土)
昼の部:15時30分開演(15時00分開場)
夜の部:18時30分開演(18時00分開場)
場所
赤羽会館講堂東京都北区赤羽南1-13-1) 
JR赤羽駅京浜東北線埼京線高崎線宇都宮線) 徒歩5分、地下鉄南北線赤羽岩淵駅 徒歩10分