風化させない 14歳の死 「報告書を読む会」事故日に設立:栃木 - 東京新聞(2015年8月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150805/CK2015080502000191.html
http://megalodon.jp/2015-0806-0958-44/www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150805/CK2015080502000191.html

足利市立西中学校三年だった石井誠人(まこと)君=当時(14)=が二〇一二年八月、改修工事現場で壁の下敷きになり死亡した事故から六日で三年を迎える。第三者調査委員会は昨年六月、事故の背景を調査報告書にまとめて市に提出したが、「報告書の趣旨が十分伝わっていない」との思いを抱く元委員らが、新たな会を設立することを決めた。事故のあった六日に合わせ、発会の集いを開く。 (稲垣太郎)
石井君は、群馬県太田市の会社で空き缶の仕分けなどのアルバイトをしていたが、同様にアルバイトをしていた同級生とともに連れて行かれた桐生市の中学校体育館の改修工事現場で、崩れた壁の下敷きになり、翌日に死亡した。
工事現場で働いているはずのない中学生が被害に遭うという特異な事故に、市は一三年三月、大学教授や心理カウンセラー、社会保険労務士ら五人を委員に委嘱して第三者委を設置。弁護士と大学講師の計三人を専門調査員として加えた。
報告書では、市内の複数の中学校でこれまでに十七人の生徒が就労してきたことを確認。学校現場の体制が十分でなく、教員らが多忙のため、非行傾向の生徒への対応力が低下していることが原因の一つと指摘。再発防止策として中学校での相談員制度の充実−などの提言を盛り込んだ。
提言を受け、市は今年四月から、西中学校を含む三校に一人ずつ「児童生徒相談員」と名付けた補助職員を配置。ただ、第三者委の元委員長で、今回の呼びかけ人代表となった早稲田大文学学術院文化構想学部の喜多明人(きたあきと)教授(子ども支援学)は「(報告書が)学校や教育委員会を批判する書と誤解され、趣旨が十分伝わっていない」と指摘する。
新たにつくる会の名称は「『足利市三者調査委員会報告書』を読む会」。呼びかけ人となったのは第三者委の元委員五人と、元専門調査員の一人で、報告書の勉強会を市内外で開くことで、理解を広げることを目的とする。
報告書の全文と、元委員、石井君の両親の手記を載せた小冊子「検証・中学生就労死亡事件 第三者調査委員会がめざしたもの」を、早ければ九月に自費出版する。
石井君の両親は、本紙の取材に「二度と起きてはいけない事故を風化させないためにも、報告書の理解が進んでほしい」と話す。
「読む会」の発会の集いは六日午前十時から、足利市朝倉町の市民プラザで開く。

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