安保法案:授業を問題視 高校での模擬投票 山口県教育長、自民県議質問に「配慮不足」 - 毎日新聞(2015年7月4日)

http://mainichi.jp/edu/news/20150704ddp001010003000c.html

山口県柳井市の県立柳井高(小林真理校長)で先月、安全保障関連法案について2年生の生徒が自分たちの考えを発表し、どの意見が説得力があるかを問う模擬投票をする授業があった。これについて、浅原司・県教育長は3日、県議会で「法案への賛否を問う形になり、配慮が不足していた」と授業を問題視する見解を示した。さらに県教委として「指導が不十分だった」と監督責任にも言及した。来年の参院選から18歳の高校生が投票権を行使する公算も大きい中、専門家から「現場を萎縮させ、教育の自由を奪う」と批判が起きている。
県議会の一般質問で、笠本俊也県議(自民)が「政治的中立性が問われる現場にふさわしいものか、疑問を感じる。県教委としてどういう認識なのか」と尋ねた。浅原教育長は投票を実施した点を問題視したうえで「(県教委として)主権者教育の進め方について学校への指導が不十分だった」とし、今後、政治的中立性の確保や授業の進め方、資料の取り扱いなどを盛り込んだ新たな指針を学校に示すと述べた。
県教委などによると、模擬投票は先月24日に2年生の「現代社会」の授業(45分間)であった。生徒たちは同22日の授業(同)で、教諭が配布した日経新聞朝日新聞の記事を参考に政府与党の見解や野党の主張、憲法学者の意見などを学習。翌日までに各自が自宅学習を行い、集団的自衛権について「どんな時に行使するのか」「他国の領域で行使する可能性は」「違憲か合憲か」などの論点を、B4判の資料にして同24日の授業に臨んだ。
同24日は生徒たちは4人ずつ8グループに分かれて議論し、それぞれ法案への賛否を明らかにした。2グループは「自衛隊の活動範囲を広げないと米国を助けられず、友好関係にひびが入る」などと賛成を表明し、残りの6グループは「戦争に巻き込まれる可能性がある」「集団的自衛権の定義があいまいだ」などの理由で反対と主張。法案への賛否ではなく、どのグループの意見が最も説得力があったかを問う模擬投票を実施した。その結果、「他国を守るのであれば、非戦闘地域での食料供給や治療(医療)でも貢献できる。自衛隊が戦争に巻き込まれてからでは遅い」と反対を訴えたグループが最多の11票を獲得した。
浅原教育長は取材に対し「配布した資料が新聞2紙では少ない。全体像が完全でない資料を使い、かつ時間も十分でない形で投票させた。高校生に賛否を問うこと自体、私自身は微妙だ」と答えた。【松田栄二郎、蓬田正志】

関連サイト)
ポッドキャスト(TBSラジオ デイ・キャッチ2015年8月3日)
行動派ジャーナリストの青木理が様々なジャンルのニュースを徹底解説!
http://podcast.tbsradio.jp/dc/files/aoki20150803.mp3

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