大学生が受け継ぐ戦争の記憶 筑波海軍航空隊記念館で企画展スタート:茨城 - 東京新聞(2015年8月2日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150802/CK2015080202000156.html
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笠間市の「筑波海軍航空隊記念館」で一日、県内の大学生たちが企画した「終戦70年 戦争を語り継ぐ活動軌跡展」が始まった。高齢化に伴い解散した遺族会や、七十年を節目に終了する慰霊祭を取り上げ、これまでの活動をパネル展示などで紹介。各団体を取材した学生たちが来場者への解説も担当する。実行委は「戦争体験者の記憶や思いを受け継いでいくために、若い人たちに見てほしい」と来場を呼び掛けている。三十一日まで。 (成田陽子)
記念館を拠点に卒業研究や学外活動に取り組む筑波、茨城、筑波学院、常磐の四大学の学生が実行委の中心メンバーとなった。筑波海軍航空隊の元隊員や遺族らでつくる「友の会」が来年三月に解散する方針となったことや、各地で慰霊や戦争を伝える活動をしていた団体が次々と消えつつあることを知り、展示のテーマにすることにした。
筑波学院大二年の川澄奈々さん(19)さんら四人は、海軍飛行科予備学生・生徒の遺族会と筑波海軍航空隊友の会を取材。常磐大三年の高木章帆さん(21)と二年の大島樹さん(19)は、すでに活動を終えた「ひめゆり語り部」など沖縄の二団体の活動内容を、スタッフの現地取材を基にまとめた。川澄さんは「生存者や遺族の『戦争という過ちを二度と犯してほしくない。若い人たちに戦争の悲惨さをもっと知ってほしい』という願いが痛いほど伝わってきた」と話す。
また、二十二日には茨城大三年の市川友香さん(20)ら「紙芝居研究会」の四人が、広島の原爆で被爆し、現在は水戸市で県原爆被災者協議会の副会長を務める茂木貞夫さん(81)の体験を描いた紙芝居を上演する。 筑波大四年の杉山貴子さん(21)は、記念館に寄せられた手紙を基に聞き取りした戦争体験者の話を展示とホームページで紹介する。閲覧者から質問を募り、体験者に回答してもらう参加型プロジェクトを目指す。第一回は十日にスタート予定で、一九八〇年に戦争体験の記録集を発行した水戸県立女学校の生徒だった水戸市在住の青木靖子さん(83)と林弘子さん(84)を取り上げる。
杉山さんは「戦争に興味がないと言われる若い人たちと、『戦争体験を伝えなければ』と使命感を持つ高齢者の間にギャップがあると感じる。私たちの活動で両者をつなげていきたい」と意気込む。
開館は午前九時〜午後五時。問い合わせは記念館=電0296(73)5777=へ。