“存立危機事態” 揺れる首相答弁 - TBS系JNN(2015年7月10日)

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安全保障関連法案、政府・与党は来週16日の衆議院通過を目指していますが、最も重要な問題に対する総理の答弁が定まっていません。
「総理の論理を追っていくと、私でも頭が混乱してしまいますから、国民の皆さん全く分からないと思いますよ。だから理解が進まないんですよ」(民主党 岡田克也 代表)
「頭が混乱して全く分からない」と指摘されたのは、集団的自衛権が使えるという「存立危機事態」を、どう認定するのかをめぐる安倍総理の説明。例えば、アメリカが北朝鮮と戦争を始めた場合に、どういう状況なら集団的自衛権を使って自衛隊アメリカの軍艦を守るのか。具体的な事例が定まっていないのです。
「まずは米国への武力攻撃が既に発生している。更に我が国への攻撃が切迫している。3番目に例えばミサイル警戒にあたっている米艦が攻撃される明白な危険という段階で、『存立危機事態』という認定をすることができると」(安倍首相)
「日本に対して攻撃されてない。今、総理が言われた“明白な危険”、米艦は襲われる前でもいいということですね」(民主党 岡田克也 代表)
「我が国への攻撃切迫」に「米艦が攻撃される明白な危険」が加われば、集団的自衛権が使える「『存立危機事態』に認定できる」と初めて明言した安倍総理。しかし、先月の答弁では、「明白な危険」ではなく、実際の「攻撃の着手」が必要との認識を示していました。
「ミサイル発射の警戒をしている米軍の艦艇に対して、ミサイルが発射されたという段階において、国の存立が危うくなったという判断をすることもあり得る」(安倍首相 先月26日)
「米艦への攻撃の着手」から「明白な危険」へと、条件を緩和した形。答弁が揺れる背景には、安倍政権が「憲法に違反しない」と主張する「極めて限定的な集団的自衛権」の矛盾があります。
これまでの国会審議では、「限定的」を強調しようとすれば、「個別的自衛権で対応可能」と指摘され、逆に、「集団的自衛権でしか対応できない」と強調すれば、自ら「限定した」要件に当てはまるかどうかが問われるジレンマです。
「総合的な判断を致しますから、例示が全てということではない」(安倍首相)
最終的には「総合的な判断」とせざるをえない答弁にも、安保法制の曖昧さが滲んでいます。
一方、こんなやりとりも・・・
「来週半ばに審議を打ち切って採決と、ちょっとありえないんじゃないか」(民主党 大串博志 衆院議員)
「時がくれば決めるときには決めていただきたい」(安倍首相)
早ければ来週15日の委員会採決、翌16日の衆議院通過を目指す政府与党を、野党側は度々けん制しました。
また、10日午後、野党各党の党首が会談、「強引な採決は認められない」ことで、一致しました。しかし、与党側からは「来週以降に審議を延ばしても状況は変わらない」との声も聞かれます。