道徳教科書、「寛容」と「規則の尊重」 自ら考え議論に力点 学習指導要領解説書 - 産経ニュース(2015年7月4日)

http://www.sankei.com/life/news/150704/lif1507040009-n1.html
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文部科学省が取りまとめた道徳の学習指導要領解説書を通じ、今年から編集作業がスタートする検定教科書の大枠が明らかになった。解説書には、「寛容」と「規則の尊重」など、ときに対立する価値観が併記されており、これらの記述に沿って編集が進められると、子供たちの「議論の場」となる教科書が誕生する。
新教科導入時は教員も手探りの指導となるため、教科書の完成度が教育の成否を左右する。解説書は一義的には教員向けだが、今回は教科書会社へのメッセージを前面に押し出した格好だ。
文科省の担当者は「教科書会社への論理の軸を明確に打ち出した」と話す。小学校の「寛容」を教える指導項目には「寛大な心をもって他人の過ちを許すこと」などと記し、広い心が必要なことを説明した。一方で「規則の尊重」の項目では、「法や決まりを守ることは(ルール違反者の)自分勝手な反発に対してそれらを許さないという意思を持つこと」と記述し、厳格さの必要性も強調している。
「寛容」では「許す」ことを教えるが、「規則の尊重」では「許さない」ことを教える−。価値観の対立について、唯一の正解を提示することは難しい。
文科省の担当者は「人間社会でバランスの取り方を教えるためにも、子供たちに積極的に議論してほしい。あえて踏み込んで両論を併記した」と説明する。
教科書では、少年法の改正や臓器移植をめぐる倫理的問題など身近な具体的事例の導入が想定されているが、教科書は“問題”について、正解を示すのではなく、子供たちが自ら考えたり、互いに話し合ったりすることに力点を置いた編集になるとみられる。(玉崎栄次)