沖縄の米軍基地国民全体で負担すべき課題 戦後70年「慰霊の日」 - 東京新聞(2015年6月23日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015062302000259.html
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◆本土守る「捨て石」なお
沖縄県の翁長知事が二十三日の沖縄全戦没者追悼式の平和宣言で、犠牲者を悼むとともに、同県名護市辺野古の新基地建設の中止を強く求めた。政府が日本を守るためとして、さらなる米軍基地負担を強いるやり方に、本土を守るための「捨て石」とされた七十年前の沖縄戦に共通する理不尽さを感じているためだ。
本土決戦までの時間稼ぎで勝ち目のない戦いを続けた沖縄戦では、県民の四人に一人が命を落とした。沖縄を占領した米軍は「銃剣とブルドーザー」で、住民の土地を強制接収して基地を建設。沖縄戦や強制接収を原点として、基地負担に苦しめられてきたのに、米軍普天間飛行場宜野湾市)を返してほしければ、新基地建設のために辺野古を差し出せという考えは「到底県民には許容できない」と訴えた。
それに対し、安倍晋三首相は同じ追悼式で「沖縄の人々には、米軍基地の集中など、長きにわたり、安全保障上の大きな負担を担っていただいている」と表明。例年通り、沖縄の基地負担軽減に意欲は示したが、新たな負担となる辺野古への新基地建設には一切、触れなかった。
翁長氏は、国土面積の0・6%にすぎない沖縄県在日米軍専用施設の73・8%が集中する現状について「沖縄の米軍基地問題は、わが国の安全保障の問題であり、国民全体で負担すべき重要な課題だ」と呼び掛けた。安倍政権が新基地反対の沖縄の民意に耳を傾けない今、本土の国民に投げかけられた切実な訴えは重い。 (後藤孝好)