イージス艦 横須賀に追加配備 安保法案審議の中、入港 - 東京新聞(2015年6月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20150619/CK2015061902000122.html
http://megalodon.jp/2015-0619-1004-59/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20150619/CK2015061902000122.html


抗議と歓迎が、基地の街に交錯した。横須賀市の米海軍横須賀基地に追加配備されるイージス艦三隻の一隻目となるミサイル巡洋艦「チャンセラーズビル」が十八日、入港した。折しも、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案の審議が続く時期。海上自衛隊護衛艦が歓迎する一方、「集団的自衛権行使の既成事実を積み重ねるつもりでは」と反発を強める市民もいた。 (中沢佳子)
チャンセラーズビルが海自護衛艦に伴われ、曇天の横須賀沖に現れたのは午前十時前。岸壁では「WELCOME HOME」の横断幕をあしらったビニール製の鳥居が設置され、乗員の家族が手を振って迎えた。
「日米のミサイル防衛の対処能力向上や共同対処が、さまざまなシーンでうたわれている時期。追加配備は日米の軍事一体化、強化の象徴だ」。米軍や自衛隊の問題に取り組む市民グループの新倉裕史さんは批判する。「湾岸戦争イラク戦争では、横須賀から赴いたイージス艦が戦争の火ぶたを切った。イージス艦と空母艦載機は先制攻撃を仕掛け、繰り返し戦争を起こしている」
基地問題に携わる呉東正彦弁護士は「憲法違反の集団的自衛権の行使に慣れさせる動きに見える。今まで増やさなかった艦船を増やすのは、返還すべき基地の恒久化にもなる。米兵犯罪や新たな施設建設もチェックしなければ」と語気を強める。
基地撤廃を訴える市民グループの新倉泰雄さんは、追加配備に伴って増員される兵士約千人分の住居問題が気掛かりという。四月に防衛省の担当者にただした際は、既存施設でまかない、新たに造らないと説明されたが、実際は追加配備決定前から不足していた独身下士官のためなどとして約八百人分が造られる。「追加配備との関連を尋ねたが、『米側がどう使うか不明』と濁された」と憤りを募らせる。