70年ぶり選挙権改正 「18歳成人」には慎重論 - 東京新聞(2015年6月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015061802000172.html
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選挙権年齢を「十八歳以上」に引き下げる改正公選法が十七日の参院本会議で全会一致により可決、成立した。政府・与党は今後、成人年齢を二十歳と定めた民法や関連法の見直し論議を本格化させる。自民党成人年齢を十八歳へ引き下げる方針。少年法の適用も「二十歳未満」から「十八歳未満」へ引き下げを検討するが、いずれも課題や慎重論がある。 (大杉はるか)
選挙権年齢は一九四五年に「二十五歳以上」から「二十歳以上」に引き下げて以来、七十年ぶりの改革。改正法は来年夏の参院選からの適用がほぼ確実で、その後、地方選挙で順次導入される。十八、十九歳の未成年者約二百四十万人が有権者に加わる見込み。
成人年齢の見直しでは、自民党の船田元・衆院議員は十七日、「投票年齢と大人の年齢のギャップ期間は短い方がいい。少年法適用も一日も早く十八歳にそろうように議論したい」と記者団に語った。「二〇一八年までに成人年齢少年法の適用年齢を引き下げたい」(安倍首相周辺)との声もある。

成人年齢民法に「二十歳」と規定される。これを根拠に各種の資格要件や税金の非課税対象などの年齢規定を設ける法律などを含め、二百本以上の法律が見直し対象となる。自民党健康被害や非行防止を理由に飲酒や喫煙などは例外にする方向だが、それ以外の大半を改正し、年齢の引き下げを検討している。
だが成人年齢を引き下げた場合、例えば十八歳が親の同意を得ずに契約しても取り消しができず、消費者被害が拡大するなどの懸念がある。
少年法は、議論の難航も予想される。川崎市の中学生殺害事件で少年への厳罰化を求める世論が強まったのを機に自民党内に適用年齢引き下げ論が出ているが、公明党は慎重だ。日弁連は、厳罰化は再犯防止に逆効果だとする調査結果を踏まえて反発している。