写真で「人権の森」後押し 映画「あん」 東村山のロケ地紹介 - 東京新聞(2015年6月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20150617/CK2015061702000115.html
http://megalodon.jp/2015-0617-0935-29/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20150617/CK2015061702000115.html

ほぼ全編の舞台が東村山市内で、元ハンセン病患者と周辺の人々との人間模様を描いた河瀬直美監督の映画「あん」の写真展が十六日、東村山市立中央公民館(本町二)で始まった。二十一日まで。ハンセン病への理解を深め、市内にある国立ハンセン病療養所「多磨全生園」の人権の森構想を知ってもらう狙い。映画のワンシーンやロケの様子のほか、映画をきっかけに市内をめぐってもらうため、ロケ地を地図で紹介している。 (萩原誠
映画は、どら焼き屋「どら春」を舞台に、元ハンセン病患者と雇われ店長らとのかかわりを描いたドリアン助川さんの小説が原作。多磨全生園内や市立中央図書館、くめがわ電車図書館、久米川駅付近の桜並木で主に撮影が進められた。

展示では、映画のワンシーンのほか、久米川駅近くに設けられた「どら春」の店舗、市立中央図書館などでのロケの様子を紹介している。満開の桜と樹木希林さん、川べりの永瀬正敏さんら、出演者の静かな表情が印象的だ。どら焼きの皮、あんのアップの写真も目を引く。
また、市立中央図書館内のハンセン病関連書籍を集めたコーナー紹介や、所沢市内の映画館で公開初日の五月三十日に行われた舞台あいさつの際に撮影した写真もある。映画を思い出しながらロケ地や全生園を散策してもらおうと、市内で行われたロケ地の地図のほか、多磨全生園の園内図なども展示している。
多磨全生園入所者自治会は、ハンセン病の歴史を後世に語り継ぐため、入所者らが長年育てた園内の自然や共同生活をしてきた建築物などをハンセン病記念公園「人権の森」として保全する活動を進めている。市も啓発などを通じてこうした活動を支援しており、映画「あん」についても「市やハンセン病を知ってもらういい機会」と独自に作製したチラシを全戸に配るなどしている。
市企画政策課の安保雅利課長は「写真展を通じて映画『あん』の世界を感じ、ハンセン病や人権の森に関する理解も深めてほしい」と来場を呼び掛ける。
展示は中央公民館一階展示室で、午前九時〜午後五時、無料。問い合わせは市企画政策課=電042(393)5111=へ。