「立憲主義 しっかり勉強し直して」 憲法審公聴会 6人中5人「違憲」 - 東京新聞(2015年6月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015061602000114.html
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衆院憲法審査会が十五日、高知市で開いた地方公聴会で、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案について、一般公募で選ばれて意見を述べた市民ら六人のうち五人が「違憲」と指摘した。四日に審査会が国会で実施した参考人質疑で、自民党推薦を含む憲法学者三人全員が法案を違憲と表明したが、地方でも法案反対の声が強いことが明らかになった。参考人を務めた学者のうち二人は十五日に記者会見し、法案は違憲との考えを重ねて強調した上で、撤回・廃案を求めた。
高知市で十五日開かれた衆院憲法審査会の地方公聴会。安全保障関連法案に賛成を表明したのは自民党の働き掛けで公募に応じた尾崎正直高知県知事だけで、反対意見が大勢を占めた。
自営業者の土倉啓介氏は憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を容認するのは「弥縫策(びほうさく)を講じているとしか思えない」と批判した。主婦の竹田昭子氏は「憲法を守らなければならないのは権力者側だ」と訴えた。安倍晋三首相に対して「(憲法が権力を縛る)立憲主義をしっかり勉強し直してください」と求めた。
高知大の岡田健一郎准教授(憲法学)は「政府は国家の基本原理に関する憲法解釈を手続きを経ずに変えた。このような解釈変更が許されるなら、どんな条文も解釈変更が可能となる」と指摘。高知自治労連の筒井敬二執行委員長は「安保法案には地理的制約も示されていない。九条が容認する範囲を超えているのではないか」と疑問を呈した。
翻訳者の佐野円氏は政府・与党が憲法学者の「違憲」発言に反論していることに触れ「建設的な議論ができるのか。学者が支持しない法解釈に国民がどうして納得できるのか」と述べた。
尾崎知事は、意見陳述で大災害や武力攻撃時の首相権限を強化する緊急事態条項の新設を主張。その後の審査会委員との質疑で「諸外国への攻撃がほぼ連鎖としてわが国への攻撃につながるなら、解釈変更は認められる」と述べた。
公聴会は約百人の市民らが傍聴して開かれた。審査会が地方公聴会を開いたのは、昨年末の衆院選後初。四国四県から一般公募を受け各会派が協議して発言者六人を選んだ。各党によると、自民党は尾崎知事、民主党は岡田氏、共産党は筒井氏に公募に応じるようそれぞれ働き掛けた。残る三氏は政党とは関係なく公募に応じたという。 (大杉はるか)