砂川事件弁護団 再び声明 合憲主張「国民惑わす強弁」 - 東京新聞(2015年6月13日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015061302000133.html
http://megalodon.jp/2015-0613-2036-41/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015061302000133.html

しかるに、高村氏はこの批判を受けとめて自説を撤回しないばかりか、最近に至って再び謬見(びゅうけん)<誤った考え>を強調し、安倍首相もこれに倣って「今般の法整備の基本的論理はこの判決と軌を一にする」などと言明し始めているので、われわれはここにあらためてこれらの言説が何らの根拠なき謬見であり、デマゴギーにすぎないことを指摘しておきたいと考える。
この最高裁判決の判示は、第一に、日米安保条約に基づく米軍駐留は憲法九条二項の「戦力不保持」原則に違反するか、そして第二に、米軍駐留は憲法九条(全体)や前文等の趣旨に反するかの、二つの争点についてなされており、それに尽きている。それらを通じて、わが国の集団的自衛権のあり方やその行使に関して触れるところは全くない(そのことは現在の内閣法制局長官も認めている)。指摘されている、「わが国が、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のこと」という判示が、わが国の個別的自衛権を指すものであることは、「わが国が、自国の」とする文辞からしても、また、それが位置づけられている文脈(論脈)からしても疑問の余地はない。
以上の次第で、安倍首相や高村副総裁の言説が無価値であり、国民を惑わすだけの強弁にすぎないことはもはや明白であるから、一刻も早く態度を改め、提案している安保法制(改正法案)を撤回して、憲法政治の大道(だいどう)<人の行うべき正しい道>に立ち返られんことを強く要求するものである。