沖縄経済が基地依存というのは誤り 翁長知事会見要旨 - 東京新聞(2015年6月12日) 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015061202000158.html
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翁長雄志(おなが・たけし)沖縄県知事の会見の要旨は次の通り。

翁長氏 沖縄と本土の間には心のひだというか、乖離(かいり)がある。私たちが三万五千人の大集会を開いたことを、なかなか理解してもらえない。「何を考えてそんなことをしているのか」と考える一般の国民は多いのではないか。これを埋めるのは大変難しいが、距離が縮まって一緒に日米安保体制や地方自治に関する議論が深まればありがたい。
「沖縄経済は基地へ依存している」と言われるが、それは誤りだ。那覇市内で返還後に再開発した地域は、経済効果が返還前の三十二倍に伸びた。現在、県内総生産に基地関連が占める割合は5%を切っている。基地は沖縄経済の阻害要因となっている。
記者 今後は米国政府、議会へどのような働きかけをしていくのか。
翁長氏 今までは基地問題で米国へ要請しても「それは日本の国内問題だ」と言われ続けてきたが、今回の訪米では一部の人に「沖縄県民の理解がなければ基地はできない。県民の今の声が沖縄の米軍へ向かってきた時に、安定的な運用は厳しくなると感じている」という話をしてもらった。その意味では、辺野古(へのこ)の新基地について、これからも米国が「日本国民の話だ。私たちは当事者ではない」と言えるのか、あらためて申し上げていきたい。
記者 辺野古の新基地建設計画はボーリング調査が進み、夏にも着工と言われている。どのように阻止するのか。
翁長氏 専門家の検証委員会で、前知事の出した辺野古の埋め立て承認に瑕疵(かし)があるかどうか検討しており、七月にもまとめる予定だ。委員会の結論は最大限に尊重するので、(埋め立て承認取り消しという)可能性も出てくる。
記者 米軍普天間(ふてんま)飛行場の固定化を避けるため、どのような対応が必要と考えるか。
翁長氏 沖縄本島にある米軍基地で県民が提供したものは一つもない。私にすると「自分で奪っておいて、老朽化して世界一危険になったから負担しろ、代替案をおまえたちで考えろ」と。これは日本政府の堕落だ。県外へ持っていけとしか、沖縄県が言えることはない。
記者 福島県原発事故の渦中にある。国策の犠牲となった基地がある沖縄県から福島県民へ伝えることはあるか。
翁長氏 政府の人に「いつまで戦争の話をするのか」と言われたことがある。福島も今はみんなで応援しようと言っていても「いつまで原発の話をしているのか」と言われるのは目に見えている。理屈がしっかり通るならば、ノーというものははっきりノーと言い、みんなで連帯していかなければいけない。これは沖縄の問題だけではなく、もし見過ごせば、日本全体のどの地方でも起こり得ることを理解してほしい。
記者 日米両政府と戦う重い決断の背景にあったのは何か。
翁長氏 なぜ沖縄県民が右だ左だとけんかをしなければいけないのか、誰か上から笑っている人がいると十代の時から思っていた。ここで自分が政治家としてやるべきだと感じた。自民党に別れを告げるのは悲しい決断だったし、革新の方々と一緒にやるのも大変だと思ったが、沖縄県イデオロギーよりもアイデンティティーという気持ちを持ちながら基地問題に当たらないと解決できない。<<