部隊運用 制服組主体に 武器輸出主導「装備庁」を新設 - 東京新聞(2015年6月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015061102000121.html
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防衛省の内部部局(内局)の背広組と呼ばれる官僚(文官)が、制服組自衛官より優位とする規定の変更を柱とする改正防衛省設置法は十日の参院本会議で、自民、公明、維新各党などの賛成多数で可決、成立した。
改正前の防衛省設置法は、防衛相が制服組トップの各幕僚長らに指示や監督を行う際、背広組の官房長や局長が「防衛大臣を補佐する」と規定。これが背広組優位の根拠とされてきた。改正法では、官房長や局長は、各幕僚長らと「相まって」防衛相を補佐するとして対等の関係に。制服組が、部隊運用などで背広組を通さずに防衛相とやりとりできるようになった。
自衛隊法九条は各幕僚長が隊務に関し「専門的助言者」として防衛相を補佐すると定めている。「背広組は政策面、制服組は軍事面で防衛相を補佐する」という役割分担が、改正防衛省設置法でも位置づけられた。
本会議では、民主、共産両党が「政治が軍事に優先する文民統制シビリアンコントロール)が弱体化する恐れがある」として懸念を示した。
改正防衛省設置法では、内局の運用企画局を廃止し、業務を制服組の統合幕僚監部に一元化することも盛り込まれた。内局主体だった自衛隊の部隊運用は、制服組主体に変更。陸海空の自衛隊の運用を一体的にするとともに、在日米軍との調整を円滑化させる狙いがあるとみられる。
同法には、防衛装備品の研究開発や輸出を担う外局「防衛装備庁」(仮称)新設も盛り込まれた。武器輸出や他国との共同開発を原則解禁した「防衛装備移転三原則」(昨年四月に閣議決定)を受けた組織。現在の防衛省経理装備局の一部や、陸海空自衛隊の関連部門などを統合し、計千八百人体制。国内の防衛企業の海外戦略を支援したり、他国との交渉窓口も担ったりするなど、武器輸出の司令塔的な役割を担う。今年十月にも発足する予定だ。
三原則は、武器を輸出した相手国が日本の事前同意なしに第三国へ再輸出したり、目的外使用したりする懸念が指摘されている。日本が輸出した武器が、紛争地域で使われる危険性が高まる。 (中根政人)