朗読、歌で平和願う 「ことばの力で 日本国憲法を世界に!」:神奈川 - 東京新聞(2015年6月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20150604/CK2015060402000133.html
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多摩区出身の俳優 今野さん
川崎市麻生区黒川にけいこ場を置く劇団民芸の団員で、多摩区出身の俳優今野鶏三(けいぞう)さん(81)が、平和を願う朗読や歌による構成劇「武力ではなく ことばの力で 日本国憲法を世界に!」を作った。七日に同市中原区で開かれる「平和をきずく市民のつどい」で披露される。 (山本哲正)
今野さんは一九三三年生まれ。少年時代は戦時中だった。日本が勝つと信じる軍国少年だったが、一方で空襲で真っ赤になった空を見て恐怖した。
反戦反核の意識を高めたのは、こうした自らの体験に加え、間接、直接的に先輩たちから受けた影響もある。新劇の本流を歩み民芸を立ち上げた滝沢修宇野重吉の両氏は治安維持法違反で逮捕され、新劇が弾圧された暗い時代を後輩に語り伝えた。日本を代表する劇作家木下順二氏や女優杉村春子さんは一九六〇年の日米安全保障条約の改定に反対するなど、社会の動きに厳しい目を向けて演劇の殻に閉じこもることはなかった。今野さんはこれまでに川崎市民から募った戦争体験談などをもとに上演用の台本を作った。今回の作品は憲法前文や九条、ナチスの犯罪に反省と謝罪を表明し続けたドイツのワイツゼッカー元大統領の演説、パキスタンのマララ・ユスフザイさん(英国在住)のノーベル平和賞受賞演説を盛り込んだ。日露戦争に従軍した弟を思う歌人与謝野晶子の詩「君死にたまふことなかれ」は、戦時中に反戦を鮮明にして刑務所に送られた吉田隆子が付けた曲とともに上演する。
◆桑田さんの歌詞も
桑田佳祐さんの「ピースとハイライト」の歌詞も登場する。「武力で構えたら、相手も武力でやってくる。戦争が近づくじゃないですか。まさに歌詞が言うように『20世紀で懲りたはずでしょう?』」と今野さん。自作の題名には自らの信念「ことばの力で」を付けた。安倍晋三首相が「美しい国」などと発言することについて今野さんは「国民を惑わす形容をしても、心を打つことはない」と話している。
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市民のつどいは市平和館で開かれる。午前十時、腹話術や音楽など「子どもも大人も楽しもう」の部で開幕。今野さんの構成劇は午後一時からの「大人の部」で、朗読の会「麻の実」(麻生区)とともに演じる。入場無料。問い合わせは実行委員会事務局=電044(766)0550=へ。