学力テスト実施 成績の扱いめぐり混乱-東京新聞(2015年4月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015042102000276.html
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小学六年と中学三年の全員を対象にした文部科学省の「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)が二十一日、国語と算数・数学に理科を加えた三教科で一斉に行われた。理科は二〇一二年度から三年に一度実施しているが、一二年度は抽出調査だったため、理科の全員参加調査は初めてとなる。結果公表は八月ごろ。
今回参加するのは小学校二万二百二十三校の約百十万四千人と、中学校一万百六十五校の約百十二万二千人。国公立は全校が参加し、私立の参加率は48・1%となっている。
国学力テストは〇七年度に全員参加方式で開始。民主党政権が約三割の学校を抽出する方式に変えたが、自民党の政権復帰で全員参加に戻った。
文科省の想定外、相次ぐ
公表の在り方など、成績の扱いをめぐり、毎年のように混乱する全国学力テスト。今回も実施直前に、大阪府教育委員会が府立高入試への活用を決めるという、文部科学省にとって想定外の事態が発生し、同省は対応に苦慮している。
一九六〇年代に実施されていた学力テストは、学校間などの過度な競争が一因で中止になった。この教訓を踏まえ、文科省は二〇〇七年にテストを復活させた際、序列化を防ぐため、公表は都道府県別成績にとどめ、市町村別や学校別の成績は非公表とした。
しかし、〇八年には大阪府橋下徹知事(当時)の要請で、府内の多くの市町が成績を明らかにした。
その後も「学力向上には情報の開示が必要」「住民への説明責任を果たす」と、秋田県寺田典城(すけしろ)知事(当時)や埼玉県教委、鳥取県教委、佐賀県武雄市教委などが市町村別、あるいは学校別の成績を相次いで公表してきた。
結局、文科省は一四年度調査から市町村教委が学校別成績を公表できるよう実施要領を改めたが、一四年九月には静岡県川勝平太知事が、教委の同意を得ないまま市町別成績を明らかにした。文科省は実施要領にさらに手を加え、「結果の公表は教委の職務権限」とする、後手後手の対応を余儀なくされた。
今回の実施に先立つ今月十五日、大阪府教委は文科省を訪れ、成績の活用方針について説明した。「テスト本来の趣旨に反する恐れはない」と強調する府教委に、文科省は「あえて一部の生徒を欠席させるような不正が行われる可能性がある」と懸念を示している。