生活保護費 返還決定取り消し「娘のバイト代は学業のため」-東京新聞(2015年3月12日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015031202000127.html
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高校生だった長女のアルバイト収入を申告せず生活保護費を不正受給したとして、川崎市が約三十二万六千円の返還を求めたのは違法と主張して、同市の父親(53)が決定の取り消しを求めた訴訟の判決で、横浜地裁は十一日、請求を認め決定を取り消した。

倉地康弘裁判長は、アルバイト収入のうち九万八千円は、長女が二〇一〇年秋の高校の修学旅行費用を親に頼めず、自分で働いて捻出したと認定。残りも、一二年三月の高校卒業を前に大学の受験料などに使ったと認め、「これを申告せずに生活保護を受けたことを不正と断じるのは酷だ」と述べた。

その上で、市が決定の根拠とした生活保護法七八条の「不実の申請その他不正な手段」で保護を受けたとまでは言えないと指摘。「(決定は)要件を欠き違法」と結論付けた。川崎市は「判決文の内容を精査して対応したい」とした。

判決によると、父親は一〇年四月から生活保護を受給。当時高校生だった長女が同六月から約一年間、薬局でアルバイトし計約三十二万六千円の収入を得たことを申告しなかったとして、市は一一年十二月、同額の保護費の返還を求めることを決定した。