<美濃加茂事件>「無罪判決」勝ち取った郷原弁護士「無意味な控訴はしないでほしい」-弁護士ドットコムニュース(2015年3月5日)

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「主文、被告人は無罪」。名古屋地裁第2号法廷に判決を宣言する声が響くと、被告人席に立った藤井浩人市長は目をぎゅっとつむり、こみ上げてくるものをこらえるような表情を見せた。

衝撃の逮捕から約9カ月。現職の全国最年少市長が贈収賄疑惑を問われ、真っ向から否認し続けた異例の裁判は、弁護側の完全勝利という形で一区切りがついた。藤井市長は「また市長として頑張っていきたい」と決意を新たにし、主任弁護人の郷原信郎弁護士は「無意味な控訴はしないでほしい」と検察側に呼びかけた。(ジャーナリスト/関口威人)
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最後に「現金授受の有無という争点について認められない。よって、犯罪の有無は認められない」とした鵜飼裁判長は、被告人席の藤井市長に「これで一区切りついた。ますます市政に尽力して。頑張って」と声を掛けた。

●藤井市長「この結果におごってはいけない」
閉廷後、記者会見に臨んだ藤井市長は「これまで多くの人に支えてもらい、無罪を勝ち取った。裁判長から激励の言葉も受け、これからまた市長として頑張っていきたい」と晴れ晴れとした表情で述べた。

一方で「決してこの結果におごってはいけない。犯罪を犯している人間を見破れなかった。そうした人との付き合い方には気をつけなければ。地方を活性化する中で民間の知恵や力は借りなければならず、組織のトップとしてしっかりとした目を持っていきたい」と決意を示した。国会で「政治とカネ」が追及されていることについて記者から問われると、「政治がすべて悪いという見方でなく、一つ一つの件に関して市民、国民の皆さんに判断してほしい」と述べた。

弁護団は「当然の判決だ」と受け止めると同時に、今回の裁判の画期的な側面も強調した。

郷原信郎弁護士は「われわれが『ヤミ取引』の疑いをもって、さまざまな証拠を請求して事実関係を引き出し、中林供述の変遷の不合理さを突いた」という点を勝訴のポイントとして挙げた。神谷明文弁護士は「証拠のない事件は無罪になるという当たり前のことが示され、法曹界全体にも大きな希望を与えた。これからは、捜査の可視化や記録化が必須になるだろう」と語った。

そして、検察に向けて、郷原弁護士は「無意味な控訴はしないでほしい。これ以上、美濃加茂市に迷惑をかけないで」と訴えていた。