constitution:憲法が現実に機能している現場-町村泰貴さんブログ(2015年2月10日)

http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2015/02/constitution-1e.html

憲法というのは、主権者が為政者に対して権力行使を付託する際に、その可能な範囲を規定するという意義がある。
従って、為政者たる政府が実行したいと考えても出来ないという場面にこそ、憲法が現実に機能していると評価することができる。それは、国民の多くが望むことでも憲法が許さないからできないということにもなる。多数の暴力を防ぐことも、憲法を含む法一般の役割だからだ。

その意味で、日本人の人質が殺害された状況下で、復讐のために軍隊を送って報復攻撃を加えるということが憲法9条によってできないと言われる現在は、まさに憲法9条が戦争を防ぐという機能を現実化しているということができる。

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こう考えると、憲法9条にノーベル平和賞を、というのも理由のないことではないと、改めて思う。

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今は、上記の9条を前提とする積み重ねがまだ効いているから戦争が防がれているが、その積み重ねの政策を徐々にでも掘り崩していけば、簡単に戦争をする国になってしまうというのは、杞憂とは言いがたい。
現在直面しているISILの残虐行為に報復したいという*1産経抄レベルの感情論を前提しても、じゃあ今現在の状況下で、日本の自衛隊空爆に加わるのが取るべき道なのか、爆弾を自ら落とさないまでもヨルダンに爆弾等を供与したり、後方支援と称して燃え盛る戦闘地域で攻撃部隊への給油を行ったり、そうしたことができるようになりたいかどうか。

*1:ヨルダンでは、「なぜ2人も殺された日本がともに戦わないのか」という声が高まっているという。http://www.sankei.com/column/news/150207/clm1502070003-n1.html