辣腕弁護士が問う「日本と原発」-Reuters(2014年 12月11日)

http://jp.reuters.com/article/jp_blog/idJPKBN0JP09920141211
http://megalodon.jp/2014-1214-1048-38/jp.reuters.com/article/jp_blog/idJPKBN0JP09920141211

[東京 11日 ロイター] - 映画「日本と原発」を観た。中部電力浜岡原発の運転差し止め訴訟など、裁判を通じて脱原発活動を続けてきた河合弘之弁護士が監督、主演したドキュメンタリー作品だ。


公式サイト
http://www.nihontogenpatsu.com/

「しょせん、裁判官たちは国策に反するような判決を出せないのではないか」と河合氏に問うと、同氏は「裁判は民主主義社会の安全弁だ。民主主義だけだと、衆愚政治になった場合や、大衆が激情型行動をとった時に取り返しがつかない。そういう時のためのインフラとして裁判制度がある。今こそ安全弁が働くべきだ」と語気と強めた。

まもなく衆議院選挙の投開票日。3.11以降、3度目の国政選挙だ。2年前の衆議院選挙、昨年7月の参議院選挙では、程度の差こそあれ、脱原発を掲げた政党の比例代表における得票率(全国)を合計すると、選挙に圧勝した自民党を上回った。今年2月の都知事選では票の分散も影響し、脱原発派候補は落選した。

各種世論調査をみると、原発再稼働に反対の意見はおおむね6割近くを占めている。選挙では、単一の政策課題が争点になるわけではないが、原発に限って言えば、「国民の意見が現実の政治、議席数にまったく反映されないねじれ現象が起きている」(河合氏)との指摘通りかもしれない。

.....

川内原発をめぐっては、周辺住民らが再稼働差し止めの仮処分を鹿児島地裁に申請。関係者によると年明け以降に地裁の決定が出る見通しだ。

河合氏は、「司法は『千万人といえども吾往かん』と正義を貫ける。例えば、福井地裁が、運転してはならないとした大飯原発の事例がそうだった」と指摘した。

「自ら省みてやましいことがなければ、千万人の反対者があっても恐れることなくわが道を進もう」(広辞苑)との孟子からの引用だ。同調圧力が強いこの国で司法が独立性を発揮するのか。原発問題の隠れたヤマ場だと思う。(浜田健太郎)