秘密保護法施行 「日本の安保に限定されず」-東京新聞(2014年12月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014121102000143.html
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十日に施行された特定秘密保護法で保護されるのは「わが国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要なもの」と第一条で規定されている。しかし、元官僚からは法律の別表「外交に関する事項」に国際約束が盛り込まれたことで「もっと範囲が広がる」との見方が出ている。

元外務官僚で日米安全保障条約課長などを務めた宮家邦彦立命館大客員教授は「長年求めていたものが実現した。同盟国の秘密をお互いに守るのは常識なのに、日本だけがそこから外れていた。これまで国内法の世界で生きてきた法制局が国際法を理解した法制局に変わっていく過程の中で起きたことだ」と評価する。

第一次安倍内閣などで官房副長官補として安全保障政策と危機管理を担当した元防衛官僚の柳沢協二氏は「最終的に外務省の言い分が通ったのではないか。条文上も日本の安全保障に限定されているとは読めない。米国向けに軍事情報保護協定に基づき提供された情報は守るというアピールをしている」と述べ、「この条文を盾にもっとさまざまな密約や隠し事をしようとする魂胆があるのかもしれない」との見方を示した。

元外務省国際情報局長の孫崎享(まごさきうける)氏は「外務省が国際約束にこだわったのは米国の要請とみていい。秘密の保護が従来より重視されているのは、集団的自衛権を行使して自衛隊が米国と一緒に海外で軍事行動をすることを前提にしているためだ。国際約束が入ったことで指定範囲が広がり、将来何らかの影響が出てくる可能性がある」と懸念を示した。