秘密保護法が施行 外務・防衛 6万件指定-東京新聞(2014年12月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014121090070316.html
http://megalodon.jp/2014-1210-0950-33/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014121090070316.html

◆広すぎる対象範囲
特定秘密保護法の成立から一年。安倍政権は運用基準を策定し、監視機関を設置したが、国民の「知る権利」を侵害する懸念はほとんど払拭(ふっしょく)されていない。にもかかわらず、予定通り運用が始まる。運用基準などで懸念が消えないのは法の根幹が変わっていないからだ。

特定秘密の対象は外交から警察関係まで幅広い。拡大解釈可能な表現が盛り込まれ、指定は政府側が都合よく行うことも可能。そんな秘密の漏えいを防ぐため、厳罰で臨む。秘密を知ろうとした市民や記者も、最高懲役五年の罰則対象となる。特定秘密は永久に指定され続ける恐れがある。

政府によると、近年重大な情報漏えい事件は起きておらず、現状で罰則強化は必要ない。

「知る権利」を守るため、厳重に管理するのは防衛や外交の重要な情報に限定するべきなのに、範囲が広すぎる。歴史の検証を受けるため、一定期間を経れば、必ず公開されるような制度もない。

同法はあまりに問題点が多い。国民の不安の声を考えると、同法はやはり必要ないと言わざるを得ない。 (金杉貴雄)