特定秘密保護法が施行 漏えい厳罰化運用開始 歯止め役に監視ポスト 「恣意的」疑念消えず - 47NEWS(2014年12月10日)

http://www.47news.jp/47topics/e/260114.php
http://megalodon.jp/2014-1210-1111-27/www.47news.jp/47topics/e/260114.php

政府の重要情報の漏えい防止を目的とする特定秘密保護法が10日午前0時に施行された。行政機関は安全保障に著しい支障を与える恐れがある「特定秘密」の指定作業に着手し、公務員らによる情報流出に厳罰を科す仕組みが動きだす。国民の「知る権利」を損なうとの指摘を踏まえ、内閣府に「独立公文書管理監」を新設するなど二つの監視機関を設置した。だが、政府内部のチェックとなり、恣意的運用の歯止め役となるか疑念は消えないままだ。

管理監は審議官級ポストで、約20人体制の情報保全監察室を設ける。将来的に局長級に格上げする。もう一つの監視機関は官房長官をトップとして各行政機関の指揮・監督に当たる事務次官級の「内閣保全監視委員会」。管理監、監視委ともに秘密の解除に関する強制的な権限がない。

秘密の指定期間は原則最長30年間。その後、公開となるが、内閣の承認などの条件を満たせば期間の延長が可能となる。

特定秘密の指定は外務、防衛両省や警察庁など19行政機関が実施。防衛・外交など4分野55項目が対象だ。公務員や防衛産業の従事者が外部に漏らせば懲役10年以下に、それ以外でも共謀や唆した場合、5年以下の懲役を科す。秘密漏えいへの従来の罰則は国家公務員法で懲役1年以下、自衛隊法で5年以下だった。

各行政機関は特定秘密を扱う職員の犯罪歴や経済状況、飲酒の程度など身辺を調べる「適性評価」を始める。不正を告発できる内部通報窓口も対象行政機関に設ける。

衆参両院は、関連の改正国会法がことし6月に成立したのを受け、法運用をチェックする常設の「情報監視審査会」を設置する。強制力のない勧告権限にとどまる。衆院解散により具体的な人選や態勢づくりは進んでいない。

秘密保護法は昨年12月に与党が採決を強行して成立した。安倍政権は外交・安保政策の司令塔となる国家安全保障会議(NSC)創設に合わせ、外国政府からの情報を厳格に管理する必要があると法整備を急いだ。
共同通信