「増税派なぎ倒し解散」だ:私説・論説室から-東京新聞(2014年12月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2014120102000170.html
http://megalodon.jp/2014-1202-1037-54/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2014120102000170.html

総選挙があす公示される。私は今回は「増税派なぎ倒し解散」とみる。理由は簡単だ。

安倍晋三首相が増税先送りを決断し、同時に衆院解散に打って出たら、自民党内の強硬な増税派はもとより、民主党までが雪崩を打って先送り容認に方針転換してしまった。

あらゆる世論調査で国民の七割が増税に反対する中、選挙カーの上から「断固として増税すべきだ」などと訴えたら、当選がおぼつかなくなるからだ。これが「オポチュニズム(日和見主義)」でなくて何なのか。

増税派は与野党に深く根を張っていた。表と裏の舞台で永田町を走り回る財務省の力は並大抵ではない。マスコミも東京新聞以外は、ほとんど増税賛成だった。

解散という伝家の宝刀を抜かずに先送りしようと思ったら、大政局になったのは間違いない。結局、増税に追い込まれ、政権が崩壊してもおかしくなかった。

増税延期なら日本が信認を失って国債が大暴落する」という増税派の宣伝文句はうそだった。国債価格は暴落どころか上昇(長期金利は下落)している。株価も上がった。

政府が選んだ有識者は七割が増税賛成だった。世論と正反対だ。永田町と霞が関に任せていたら、賛成論が大勢になっただろう。決まっていた増税路線を修正し、解散によって有識者ではなく国民に選択を委ねる。それが今回の解散の大義である。 (長谷川幸洋