ユネスコ会議 悪い大人をまねないで-東京新聞(2014年11月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014110702000143.html
http://megalodon.jp/2014-1107-0953-56/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014110702000143.html

子どもたちへ。今日は皆さんのために書きました。皆さんの未来を語る国際会議が十日、名古屋で始まります。大人たちが地球を壊し続けた過去を振り返り、より良い未来を築くための会議です。

ESD。近ごろはやりの三文字英語。AKBならばともかく、わからない、と言われても、仕方ありません。

「持続可能な開発のための教育」という日本語に直してみても、よけいに難しくなりそうです。そもそも、「持続可能」とは、「持続可能な開発」とは一体、何でしょう。

簡単に言えば、地球の環境、生態系を壊さないようにしようということです。損するのはもっぱら人類ですから。たとえば森をきりすぎない。ウナギを食べすぎないということです。

二十世紀後半、米国や日本のように今先進国と呼ばれる国々で、工業や商業が急激に発展し、人々の暮らしは豊かになりました。

その代わり、空は煙に、川は排水に汚されて、街からごみがあふれ出しました。

森林や田園は多くの生き物の命とともに失われ、温暖化の進行が止まりません。二酸化炭素ガスには熱を逃さない性質があるので、増えれば地球が毛布でくるまれたようになってしまうのです。

これ以上地球を壊さずに、世界中が長く暮らし続けていくには、どうすればいいのだろうか。教育なんて偉そうに言う前に、本当は大人たちが率先して、自らを改めなければなりません。

そのために、まず十年間、社会全体でその学びを深めてみようと、日本から世界に呼びかけたのが、このややこしいESDだったのです。

そして今年が十年目。十年間の学びの結果を振り返り、これから何をしたらいいかを、話し合う会議です。

会議なんて関係ないよ、だって大人たちのせいじゃないかと、恐らく思うことでしょう。そのとおり。目の前のこの危機は、明らかに私たち大人の責任です。目下反省中。そして、先送りはできません。

思い浮かべてみてほしい。皆さんが、ずっと大切にしていたいものは何ですか? 未来に残しておきたいものは?

考えてみてください。大切なものを失わないために、皆さんは、どうします? 

未来は、大人じゃなく皆さんのものなんです。