「未成年後見人」の祖母が孫の財産3800万円を横領――未成年後見人ってなに?-弁護士ドットコム(2014年11月4日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141104-00002239-bengocom-soci
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母を交通事故で亡くした少女が、「未成年後見人」となった祖母に保険金を横領された。その原因は、宮崎家庭裁判所の監督が適切でなかったからだとして、少女側が国などに損害賠償を求めた。宮崎地裁は10月中旬、国に約2500万円の支払いを命じる判決を下した。

この事件で問題となった「未成年後見人」とは、いったい何なのだろうか? どういった場合に未成年後見人が選任されるのだろうか。制度にくわしい山川典孝弁護士に聞いた。

●未成年後見人が必要になるのは?
「未成年後見人は、簡単にいうと、『親の代わりに子どもの面倒をみる人』です」
山川弁護士はこう切り出した。
「未成年後見人が選任されるパターンは、2つあります。ひとつめは、『親権者がいないとき』。これはたとえば、両親がともに亡くなった場合です」
もうひとつのパターンは何だろう?
「もうひとつは、親権者はいるのですが、その人が財産管理権をもっていない場合です」
どういうことだろうか?
「親権は、2つの権利にわけることができます。簡単にいうと、『子の成長のために監護・教育をする権利』(身上監護権)と、『子の財産を管理する権利』(財産管理権)です。
そして、子の財産管理が不適切だったりすると、親権を持っている人が、親権のうち財産管理権だけを失う場合があるのです(民法835条)。
こうした場合、未成年者の財産を管理する人が必要になり、未成年後見人が選任されるのです」
●未成年後見人は、裁判所が選ぶ
誰が未成年後見人になるのだろうか?
「未成年後見人を選ぶ方法は、2つあります。
ひとつは、『親権者』が遺言で未成年後見人を指定する方法です(民法839条)。
もうひとつは、『家庭裁判所』が未成年後見人を選任する方法です(民法840条)。
後者では、未成年者本人や、親族などの申立てに基づいて、家庭裁判所が相当と認める未成年後見人を選任します」
●家裁への報告義務がある
成年後見人になると、どんなことをしなければならないのだろう。
「未成年後見人は通常、選任されたあと、ひと月程度で、家庭裁判所に対して、初回の報告を行います。具体的には、事務報告書や財産目録、年間収支予定表を家庭裁判所に提出するほか、未提出の預金通帳や保険証券などがあれば、添付資料として提出する必要があります。
家庭裁判所はこうした資料から、未成年(被後見人)の財産状況や生活状況などを把握するわけです。未成年後見人の報告に不自然な点などがあれば、未成年後見人に指導をしたり、追加の報告を求めることになります」
●「不正防止」の目的も
「未成年後見人は、おおむね年1回程度、家庭裁判所に報告を行うことになっています。
たとえば、東京家裁ではその際、事務報告書や財産目録、収支状況報告書に加えて、過去1年分の通帳の写しを提出することになっております。
こういった制度は、今回の事件のような、未成年後見人による不正を防止することも目的にしているのです」
つまり、家庭裁判所は「未成年後見人」が悪さをしないように、監視しているわけだ。
「そうですね。加えて、裁判所は、事案によって、未成年後見人がキチンと役目を果たしているかを監督する人(未成年後見監督人)をつけることもあります(民法849条)」

山川弁護士はこのように述べていた。