道徳:小中学校での「教科に格上げ」中教審が答申 - 毎日新聞(2014年10月21日)

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文部科学省の諮問機関「中央教育審議会」は21日、現在教科ではない小中学校の道徳を教科に格上げするよう下村博文文科相に答申した。答申は現行の道徳授業が形骸化している点を問題視。国の検定教科書を導入するなど教科化した上で評価もすることで改善を求めた。同省は今年度中に道徳に関する学習指導要領の改定案と教科書の検定基準を示す。教科書を使った授業は2018年度にも実施される予定。

道徳は現行の学習指導要領では「教科外活動」で、授業は週1コマ実施されている。答申は「道徳教育の特質を生かした授業がされていない」「学校や教員によって指導の格差が大きい」などと指摘し、教科化によって早急に改善することが必要とした。

国の検定教科書を新たに導入するが、成績評価は「個人内の成長過程を重視すべきだ」として、他教科のような数値ではなく記述式にすることなどから「特別の教科 道徳」(仮称)と位置づける。授業時数は現行同様、週1コマで、学級担任が教える。

学習内容は、現行の学習指導要領が示す(1)自分自身に関すること(2)他の人との関わり(3)自然や崇高なものとの関わり(4)集団や社会との関わり−−の四つの視点をふまえつつ、新たに、インターネットの正しい使い方などを教える「情報モラル」や生命倫理といった社会問題も扱うよう求めた。

現在の指導方法が「読み物の登場人物の心理理解のみに偏った形式的な指導や、分かりきったことを言わせたり書かせたりする授業がみられる」と指摘。児童生徒による討論や問題解決型の授業を積極的に取り入れる必要性を強調した。

複数の学校で道徳教育の指導役となる「道徳教育推進リーダー教師」(仮称)の設置も提案した。教材は、検定教科書が適当としながらも、郷土資料など地域による多様な教材の併用を求めた。教科書を使った授業は18年度からの予定だが、同省は来年度から教科化を見据えた授業ができるように、今年度中に教員向けの指導書を作成する。【三木陽介】

 ◇道徳の教科化に関する中教審答申の骨子

  • 「特別の教科」として位置付け、学習指導要領を改定する
  • 学ぶ内容に「情報モラル」「生命倫理」など現代社会の課題も盛り込む
  • 中心的教材として検定教科書を導入する
  • 各地域の郷土資料などを併せて活用する
  • 評価は5段階などの数値でなく記述式とする