特定秘密法、「身内」の監視働くか 国会で論戦 - 朝日新聞(2014年10月15日)

http://www.asahi.com/articles/ASGBH4R8KGBHUTFK00J.html
http://megalodon.jp/2014-1016-0920-12/www.asahi.com/articles/ASGBH4R8KGBHUTFK00J.html

政府が14日閣議決定した特定秘密保護法の運用基準の要旨は次の通り。

【留意事項】

 必要最小限の情報を必要最低限の期間に限って特定秘密として指定する。

 憲法に規定する基本的人権を不当に侵害しない。適性評価の実施は、プライバシーの保護に十分に配慮しなければならない。

 国民の知る権利は十分尊重されるべきだ。報道、取材の自由に十分に配慮する。

【特定秘密の指定】

 「防衛」「外交」「スパイ活動防止」「テロ防止」の4分野、55項目を対象に、公になっていない情報で、漏洩(ろうえい)が我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要かどうかで判断。法令違反の隠蔽(いんぺい)を目的として、指定してはならない。

【指定の有効期間の満了・延長・解除】

 30年を超えて指定の有効期間を延長することを内閣が承認するか否かの判断は、特に慎重に行う。30年を超える特定秘密は解除後、歴史公文書等として国立公文書館等に移管する。30年以下の特定秘密で歴史公文書等に該当しないものは首相の同意を得て廃棄する。

【適性評価】

 プライバシーの保護に配慮。特定秘密を扱う人物の適性評価の調査は、テロリズムとの関係、家族の国籍、犯罪歴、薬物、精神疾患、飲酒の節度、経済状況など秘密法で定める事項に限定。

【適正確保の措置】

 内閣官房に「内閣保全監視委員会」を置く。

 内閣府に「独立公文書管理監」を置く。独立公文書管理監は、行政機関の長に対し、特定秘密を含む資料の提出や説明を求め、実地調査をすることができる。

 独立公文書管理監は、検証や監察の結果、特定秘密の指定や解除、管理が秘密法に従っていないと認めるときは、是正を求める。

【通報窓口】

 特定秘密を指定できる19行政機関に通報窓口を設置する。

 秘密を扱う公務員や業者が、特定秘密の指定、解除、管理が秘密法に従っていないと判断するときは、行政機関の通報窓口に通報できる。この場合、特定秘密を漏らしてはならない。

 行政機関の長は、通報者が不利益な扱いをされることのないよう適切な措置を講じなければならない。

【運用基準の見直し】

 法施行5年後に運用状況について検討を加え、必要があれば見直す。

 特定秘密の指定対象となる55項目は次の通り。

 【防衛(19項目)】

 ■自衛隊の運用、これに関する見積もり、計画、研究

 ?訓練、演習?情報収集・警戒監視活動?自衛隊法で規定する防衛出動、治安出動など?米軍との運用協力に関するもの

 ■重要な情報

 ?電波、画像その他情報収集手段を用いて収集した情報?外国政府などから提供された情報?これらを分析して得た情報?情報の収集・分析の対象、計画、方法、情報源など

 ■防衛力の整備に関する見積もり、計画、研究

 ?国内外の諸情勢に関する見積もり、これに対する我が国の防衛、防衛力の整備に関する方針?防衛能力の見積もり、研究?米国との協力に関するもの?自衛隊部隊の武器、弾薬、航空機などの種類、数量のうち、事態対処能力が推察できるもの?自衛隊部隊間の通信網の構成、通信方法?暗号

 ■武器、弾薬、航空機などの仕様、性能、使用方法(研究開発段階含む)

 ?自衛隊の潜水艦、航空機、センサー、電子戦機器、誘導武器、情報収集機器?外国政府などから提供されたもの

 ■製作、検査、修理、試験の方法

 ?自衛隊の潜水艦、航空機、センサー、電子戦機器、誘導武器、情報収集機器?外国政府などから提供されたもの?施設設計、性能、内部の用途

 【外交(17項目)】

 ■外国の政府、国際機関との交渉、協力方針、内容

 ?国民の生命、身体の保護(21)領域保全(22)海洋、上空の権益確保(23)国際社会の平和と安全の確保(24)外国政府で特定秘密に相当する措置が講じられているもの

 ■貨物の輸出入の禁止など

 (25)外国人の入国禁止や制限、邦人の渡航自粛要請(26)貨物の輸出入の禁止、制限(27)資産の移転禁止、制限(28)航空機乗り入れ、船舶入港の禁止、制限(29)船舶の検査(30)外国政府などに対する外交上の措置(31)領域保全のための措置、方針

 ■重要な情報

 (32)電波、画像その他情報収集手段を用いて収集した情報(33)外国政府などから提供された情報(34)これらを分析して得た情報(35)情報の収集・分析の対象、計画、方法、情報源など(36)外交用の暗号

 【スパイ活動防止(10項目)】

 ■被害発生、拡大の防止のための措置、計画、研究

 (37)核兵器、化学製剤、細菌製剤の輸出入の活動防止(38)緊急事態対処の部隊戦術(39)重要施設、要人の警戒警備(40)サイバー攻撃防止(41)外国政府などと協力して実施する措置、計画、研究のうち当該外国で特定秘密に相当する措置が講じられているもの

 ■重要な情報、外国の政府などからの情報

 (42)電波、画像その他情報収集手段を用いて収集した情報(43)外国政府などの提供情報(44)これらを分析して得た情報(45)情報の収集・分析の対象、計画、方法、情報源など(46)暗号

 【テロ防止(9項目)】

 ■被害発生、拡大の防止のための措置、計画、研究

 (47)緊急事態対処の部隊戦術(48)重要施設、要人の警戒警備(49)サイバー攻撃防止(50)外国政府などと協力して実施する措置、計画、研究のうち当該外国で特定秘密に相当する措置が講じられているもの

 ■重要な情報、外国の政府などからの情報

 (51)電波、画像その他情報収集手段を用いて収集した情報(52)外国政府などの提供情報(53)これらを分析して得た情報(54)情報の収集・分析の対象、計画、方法、情報源など(55)暗号