Listening:<金言>独立機運、底流を知る=西川恵 - 毎日新聞(2014年9月12日)


http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140912org00m010003000c.html
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近代の人間や社会に対する新しい認識を切り開いた18世紀の啓蒙(けいもう)思想というとフランスが知られる。しかしフランスほど華々しくないが、同時期、スコットランドでも啓蒙思想が花開き、近代文明に多大な影響を与えた。

国富論」を書いたアダム・スミス、哲学者デービッド・ヒューム、歴史・哲学・経済学者のジェームズ・ミル(政治・社会思想家ジョン・スチュアート・ミルの父)、哲学者トマス・リード、蒸気機関を発明したジェームズ・ワット……。歴史教科書に登場する彼らは18世紀、スコットランドに生まれ、活躍した。

なぜ北の孤立したスコットランドがフランスに勝るとも劣らない知的・精神的拠点となったのか。米国でベストセラーになった「近代を創ったスコットランド人」(アーサー・ハーマン著、篠原久監訳・守田道夫訳、昭和堂)は、カルビン派プロテスタント信仰の下、自由で自立的な「個人」の観念が育っていたことと、ロンドンから遠く離れ、国家組織や貴族サロンに支配されなかった点を挙げる。

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スコットランドによってかき立てられている地方の発言力強化と自立への欲求を、世界の指導者は複雑な思いで注視しているはずだ。欧州、ロシア、中国だけでなく、基地問題で不満が高まる沖縄を抱える日本とても人ごとではない。

参考)
欧州で独立可能性のある地域