池上コラム問題 言論を大切にしたい-東京新聞(2014年9月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014090502000163.html
http://megalodon.jp/2014-0905-1043-20/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014090502000163.html

ジャーナリストの池上彰さんが朝日新聞に連載中のコラムがいったん掲載を拒まれた。朝日の記事を批判的に論じた原稿だった。寛容の精神を貫き、批判をも包み込む言論空間を大切にしたい。

(池上彰の新聞ななめ読み)慰安婦報道検証 訂正、遅きに失したのでは - 朝日新聞(2014年9月4日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S11332230.html
http://megalodon.jp/2014-0905-1042-51/www.asahi.com/articles/DA3S11332230.html

 今回の検証特集では、他紙の報道についても触れ、吉田氏の証言は他紙も報じた、挺身隊と慰安婦の混同は他紙もしていたと書いています。問題は朝日の報道の過ちです。他社を引き合いに出すのは潔くありません。

 今回の検証は、自社の報道の過ちを認め、読者に報告しているのに、謝罪の言葉がありません。せっかく勇気を奮って訂正したのでしょうに、お詫(わ)びがなければ、試みは台無しです。



■池上さんと読者の皆様へ

 今回のコラムは当初、朝日新聞社として掲載を見合わせましたが、その後の社内での検討や池上さんとのやり取りの結果、掲載することが適切だと判断しました。池上さんや読者の皆様にご迷惑をおかけしたことをおわびします。

■池上さんのコメント

 私はいま、「過ちては改むるに憚(はばか)ることなかれ」という言葉を思い出しています。今回の掲載見合わせについて、朝日新聞が判断の誤りを認め、改めて掲載したいとの申し入れを受けました。過ちを認め、謝罪する。このコラムで私が主張したことを、今回に関しては朝日新聞が実行されたと考え、掲載を認めることにしました。

最近の身の回りで強まる表現活動や言論空間を制限する動きは見過ごせない。

さいたま市大宮区の三橋公民館は、市民が「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠んだ俳句を月報に載せなかった。

東京都国分寺市では十一月に開かれる国分寺まつりに、市民団体の「国分寺9条の会」や「バイバイ原発国分寺の会」の参加が認められなかった。

多様な考えが民主主義を強くする。異論や反論を排除せず、熟慮する場がつくられるべきだ。