憲法と秘密保護法 国民主権なお置き去り-毎日新聞(2014年5月6日)

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http://mainichi.jp/opinion/news/20140506k0000m070086000c.html
http://megalodon.jp/2014-0818-1007-46/mainichi.jp/opinion/news/20140506k0000m070086000c.html
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http://mainichi.jp/opinion/news/20140506k0000m070086000c2.html
http://megalodon.jp/2014-0818-1008-15/mainichi.jp/opinion/news/20140506k0000m070086000c2.html

憲法前文は主権が国民に存すると宣言する。国民の意思によって国政が運営されることを定めたものだ。しかし、国の持つ重要情報が幅広い行政の裁量で「秘密」とされ、国民の目に届かない仕組みができれば、国民主権の基盤は大きく崩れる。

昨年12月に成立し、公布された特定秘密保護法は、さまざまな面で憲法の基本原理に反する。

国民自らの努力で、あるいは報道を通じ、国の持つ情報を知るという権利。戦後民主主義の下で育まれてきた基本的人権の土台にも法律はくさびを打ち込む。

衆参両院の採決は不十分な審議の末に強行された。安倍晋三首相は「もっと丁寧に時間をとって説明すべきだった」と、反省の弁を述べた。

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憲法41条は、国会は国権の最高機関だと定める。だが、法律の規定では、国会の権限や活動が大きく制約を受ける可能性が残る。

秘密保護法10条は、特定秘密を提供できる場合として、国会を挙げる。ただし、それは行政機関の長が「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」に限られる。行政機関の長の判断がまず優先されるのだ。
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政府・与党の遅々とした取り組みを見ると、いったん法律を廃止すべきだと改めて感じる。法成立後、全国で100を超える地方議会が、廃止を求める意見書を可決したのも、そんな危機感の表れだろう。政府は深刻に受け止めるべきだ。