(憲法を考える:中)草案に宿る「素人」の志- 朝日新聞(2014年5月4日)

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「アマチュアリズムを生かし、憲法の意味を問い直したい」。そう語る東が触発されたのは「五日市憲法草案」だ。自由民権や憲法制定運動が盛り上がった明治前期、東京・西多摩の教師や商人ら数十人が欧米の憲法や人権思想を学ぶ勉強会で討論を重ね、まとめられた「私擬(しぎ)憲法」だ。こうした草案が当時各地で100以上つくられた。

草案は46年前、東京経済大教授だった色川大吉(88)と学生らが東京都あきる野市の土蔵で見つけた。基本的人権の尊重や言論・信教の自由などが204カ条にわたり、和紙24枚にしたためられていた。発見に立ち会った専修大教授の新井勝紘(かつひろ)(69)は「白熱した討論で民の知恵が凝縮され、草案が生まれた。私たちが戦争という遠回りを経て手にした憲法と共通するものがある」と話す。