政府、最高裁長官意見を引用へ 集団的自衛権容認で-東京新聞(2014年4月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014041501002180.html
http://megalodon.jp/2014-0416-1108-20/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014041501002180.html

安倍政権は、集団的自衛権の行使容認の根拠として、国家存立のための自衛措置を認めた砂川事件をめぐる1959年の最高裁判決に付された田中耕太郎最高裁長官(当時)の補足意見を援用していく方針を固めた。行使容認に伴う憲法解釈変更の閣議決定に先立って策定する「政府方針」に引用することを検討している。政府筋が15日、明らかにした。

田中氏の補足意見は、他国防衛に関する自国の義務を明示している。砂川判決は集団的自衛権を視野に入れていなかったと主張する公明党に対し、説得の補強材料とする意図とみられる。

参照:砂川最高裁判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55816&hanreiKbn=02

新聞報道では「政府、最高裁長官意見を引用へ 集団的自衛権容認で」とある。補足意見を述べた田中耕太郎はたしかに当時最高裁長官であったが、最高裁判所長官は、司法権行使の点で他の最高裁判所の裁判官に優越するものではない。つまり田中の意見が他の裁判官と異なって優越するものではなく、他の裁判官の意見と同等の地位しかない。
しかも、この最高裁判決には裏があった(布川玲子・新原昭治編『砂川事件と田中最高裁長官』日本評論社)。
東京地方裁判所(伊達判決)は在日米軍憲法違反とした。政府関係者や駐日アメリカ大使館は慌てたと思われる。東京地裁判決(1959年3月30日)の翌朝、31日午前8時には、マッカーサー駐日大使が藤山外務大臣に会って、最高裁に「跳躍上告」することを進言した。こうした動きのなかで、田中耕太郎最高裁長官(当時)は、マッカーサー大使に対し、最高裁判決が出る時期の見通しを内密に告げた(当事者の代理人である弁護団にも知らされていない時期である)り、アメリカ側に、15人いる最高裁判事全員一致での判決を願うと伝えたりした。最高裁判決は結果的に、15人の最高裁判事が全員一致で在日米軍は合憲だという判決になったが、マッカーサー大使は田中長官の手腕を褒め称える電報をアメリカ本国に送っている。(2008年〜2013年にかけて発見された資料で明らかになった。

参照:集団的自衛権「砂川が根拠」 首相、歴代の議論無視-東京新聞(2014年4月11日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20140411#p4