【PC遠隔操作事件】C#でのプログラム作成能力を巡って(第6回公判メモ)(江川 紹子さん) - Y!ニュース(2014年4月15日)

http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20140415-00034530/

江川さんのコメント

M氏の記憶は実に曖昧で、十分打ち合わせをしているはずの検察側主尋問でさえ、肝心な点を誘導されないと答えられないほどだった。そのうえ、M氏の証言するプログラムの中身が、片山氏が作ったものとは全く別物とするなら、今日の証人尋問はいったいなんだったのだろう…という気がする。
検察側が、なぜチームのリーダーだったO氏を証人に立てなかったのだろうか。片山氏が作ったSQL REPLACEは、仕事の効率化のためのプログラムで、O氏にも当然送ったはず、という。
おそらくO氏は、片山氏がC#でプログラムを書けるとしたい検察側が望むような証言をしそうもないからだ。この点については、検察側は他に証人を見つけられず、M氏に頼るしかなかったのだろう。
検察側による片山氏のC#の能力に関しては、前回の公判に出廷した、片山氏が所属していた会社の上司N課長の証言と今回のM氏で終わった。それを総合すれば、片山氏のC#の経験は、1)チームの一員として修正作業に関わったことが一度ある 2)研修の自主課題として初歩的なプログラムを作成した 3)M氏が証言したSQL REPLACEの作成――の3回。
弁護側は、「これしかない」とみる。この3件で行ったレベルとiesysとの間にはあまりに乖離がある、という点を重く見ているからだ。一方、検察は「C#でプログラムを作ったことがある」点を強調し、「だからiesysも作れたはず」という風に導いていこうとするだろう。
「全く作れない」「熟達している」という両極端での論争ならどちらかに軍配も上げられるだろうが、そうではない程度の問題になると、判断は難しい。今回話題になったSQL REPLACEにしても、検察側は片山氏が独自に作った「可能性」を前提に、弁護側はインターネットで拾ったプログラムを組み合わせただけの「可能性」を前提に話を進めており、どちらも「可能性」と推測の域を出ない。
そもそもiesys作成の難易度が分からないであろう裁判官たちが、このような証言を元に、どのようにして被告人のプログラム作成能力を判断したらいいのだろうか……。