改正少年法 更生の理念忘れぬよう-東京新聞(2014年4月15日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014041502000167.html
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罪を犯した少年に科す有期刑の上限を十五年から二十年に引き上げることを柱にした改正少年法が成立した。厳罰化が加速する。刑罰よりも教育による更生を重んじた法の理念は忘れてはならない。

改正は、少年に対する量刑が軽すぎる、という犯罪被害者団体の声などを受け、成人の法定刑との差を縮める。

現行法は、成人なら無期刑になる犯罪も、犯行時が十八歳未満の少年なら、十〜十五年の有期刑(懲役・禁錮)にできると規定する。この上限が二十年に引き上げられた。

また、判決時に二十歳未満の少年は、更生の可能性や可塑性を考慮し、短期と長期の刑期を示す「不定期刑」もある。これを短期を最長五年から十年に、長期を最長十年から十五年へと引き上げた。

被害者遺族には少年事件の扱いに不満があった。肉親を殺されても非公開の少年審判では事実がわからない、少年法保護主義の下で甘やかされている−という声を受け、刑事罰の対象年齢を十六歳から十四歳以上へと引き下げた二〇〇〇年以降も法改正を重ねた。

今回は有期刑の最長が三十年の成人との差が縮まり、少年にも罪に見合った刑罰が科せるようになる、という評価もある。

対象は、十四歳以上が犯した殺人などの重大事件で、刑事処分が相当として検察官送致され、裁判員裁判となったケースだ。

少年の場合は、未熟だからこそ残酷な犯行が目立つ。家庭環境に恵まれなかったり、自身が虐待の被害者であるなど、ハンディを抱えたケースが多い。

こうした少年の事情を裁判員たちがどこまで理解し、量刑判断などへつなげられるか、難しさがあるだろう。現時点でも少年事件には厳しい目がある。

刑に服させるといっても、十代半ばの少年をそれまで生きた期間よりも長い期間、施設に収容すれば、社会復帰のハードルを上げることになってしまう。

少年であっても犯した罪と向き合い、償いを果たしていかなくてはならないが、刑罰よりも教育によって立ち直りを求めた少年法の理念は、裁判員裁判の中でも貫かれるべきだ。

少年事件の特性や少年の背景事情を丁寧に示しながら、事実を明らかにしているか。安易な厳罰化とならず、裁判員が適切な量刑の判断ができるように、改正法の運用は慎重を重ねてほしい。