異質な者を受け入れる社会へー少年法・厳罰化の動きをめぐって-明治大学法学部教授上野正雄さん(2013年10月)

http://www.meiji.net/opinion/vol10_masao-ueno/

少年法の厳罰化というのは、単に法律の問題ではない。厳罰化は、今の社会がどのような社会であるかを如実に物語るものだ。厳罰化には、社会にとって異質の者、異物を排除していく考えが根底にあるのではないか。果たして、そのような社会が本当に住みやすく、生きやすい社会であろうか。ましてや可塑性の高い未熟な少年を、罪を犯したことをもって排除しようとすることが、社会のあるべき姿だろうか。臭いものに蓋をするのでなく、それを元から断つために少年には教育こそが必要であり、そういう制度や少年を受け入れる社会が必要であると考える。社会は決して均質ではない。いろいろな人間がいて、互いの異質性を理解し尊重することで、日々生活していけるのだと思う。厳罰化の進行は、生きにくい社会を形成することになる。異質の者も失敗した者も受け入れる穏やかな社会、生きやすい社会のあり方を、今後も法学からのアプローチで模索していきたいと考えている。