少年有期刑上限20年に 改正法成立-東京新聞(2014年4月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014041102000239.html
http://megalodon.jp/2014-0411-1548-19/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014041102000239.html

罪を犯した少年に言い渡す有期刑(懲役・禁錮)の上限を十五年から二十年に引き上げる厳罰化が柱となる改正少年法は、十一日午前の参院本会議で自民、民主両党などの賛成多数により可決、成立した。五月中に施行される見通しだ。量刑が軽すぎるとの犯罪被害者団体などの主張を背景に、成人の法定刑との差が縮まる。共産、社民両党などは反対した。

谷垣禎一法相は記者会見で「少年への適切な科刑が可能になる」と述べた。

現行法は、成人なら無期刑となる犯罪の場合でも、犯行時十八歳未満の少年であれば十〜十五年の有期刑に緩和できると規定。改正案は、この上限を二十年に引き上げた。

◆厳罰化加速に懸念も

十一日成立の改正少年法は、罪を犯した少年に言い渡す有期刑(懲役・禁錮)の上限引き上げが柱だ。被害者遺族らは「罪に見合う刑罰を科せるようになる」と評価。一方、専門家からは厳罰化が進むとの懸念が出ていたが、国会で大きな議論になることはなかった。

谷垣禎一法相は衆院法務委員会で「選択肢を広げ、より適切な刑を科せるようにする」と、繰り返し改正の意義を強調。参考人として出席した刑法学者も「一律に重く処罰する意図はない」と述べた。

これに対し弁護士や少年法学者らは「現状でも重い刑が科せられる傾向にある」と指摘。「法定刑を引き上げるとさらに重くなる」と反論したが、委員から厳罰化を危ぶむ意見はほとんど出なかった。

元東京高裁判事の木谷明弁護士は「成人の刑が引き上げられた後に厳罰化が進んだ。同じことが起きるだろう」とみる。二〇〇五年の改正刑法施行で成人の有期刑の上限が三十年に引き上げられ、その後に懲役二十年を超える判決が相次いだからだ。

裁判員裁判でも同じ傾向があることに言及し「裁判所は、更生を第一に考える少年法の理念を裁判員に丁寧に説明することが必要だ」と求めた。

岐阜県中津川市で〇六年、中学二年だった次女=当時(13)=を十五歳の少年に殺害された清水恵子さん(48)は「量刑の範囲が狭い今の法律がおかしかった」と指摘。「いくら刑罰を重くしても、亡くなった娘は帰ってこない」と話した。