55年前の砂川判決 首相「集団的自衛権含む」-東京新聞(2014年4月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014040902000132.html
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安倍晋三首相は八日の民放BS番組で、歴代政権が憲法九条の下で行使を禁じてきた集団的自衛権をめぐり、最高裁による一九五九年の砂川判決の解釈について「個別(的自衛権)も集団も入っている。両方にかかっているのが当然だ」と述べ、判決が認めた「(国の)存立を全うするために必要な自衛のための措置」には集団的自衛権も含まれるとの認識を示した。砂川判決を行使容認の根拠に、自民党内を意見集約したい高村正彦副総裁に歩調を合わせた発言で、自らが言及することで議論を加速させる狙いがあるとみられる。 

砂川判決は自衛権の区別をしていないが首相は番組で「集団的自衛権を否定していないことは、はっきりしている」と指摘。「必要最小限の中に含まれる集団的自衛権もあるのではないかと(の議論が自らの私的諮問機関の)有識者懇談会でも主流的になりつつある。政府としては必要最小限の行使と考えている」と述べた。

しかし、砂川判決は、集団的自衛権は行使できないという政府の憲法解釈が確定するより、はるか前に出されている。その判決を根拠に集団的自衛権は認められるとの論法には無理があるとの見方が野党や与党・公明党内には根強い。安倍政権が解釈改憲に前のめりになっていることを裏付ける発言だ。公明党山口那津男代表は「判決は個別的自衛権を認めたものだ。集団的自衛権を視野に入れて出されたと思っていない」と主張。これに対し首相は番組で「裁判長の頭の中に(集団的自衛権の)概念があったのかは分からないところがあるということを(山口氏は)言いたかったと想像する」と述べた。