10万年後の人類に高レベル放射線廃棄物の処理施設をどう託すか『100,000年後の安全』マイケル・マドセン監督インタビュー(津田大介さん)-ポリタス「東京都知事選2014」を考える(2014年1月31日)

http://politas.jp/articles/44

マドセン:まずこの問題について、声を上げて話し合うべきだと思います。そして、誰一人として答えを出すことのできなかった問いへの答えを模索するべきかと。今、欧州の人たちは、東電が日本政府に真実を語らぬままうやむやにしてしまうのか、そして国民がそれを許すのかを注視しています。もし我慢して許してしまったとしたら、まったく理解しがたいミステリーだし、結局、悪い前例を作る結果となってしまうことは明らかだと思いますけどね。私も日本の「恥」の文化はよく知っています。しかし今、それが良くない方向に働き、恥を隠す方向に行っている。今回の原発事故は人類史上最悪の災害の一つで、東電、そして政治の失敗の表れであることは明らかです。それが恥ずかしいからと直視しないで済ませてしまう、見て見ぬふりをするというのでは何の進歩もありません。結局そういうことが堂々巡りするようであれば、信頼というものがまったく存在しない社会であると露呈してしまうのではないか。どうしたらいいかわからなくて当たり前。それを正直に認めてしまうことが実は大事ではないかと思いますね。真実が語られないならば、ジャーナリストはそれを語らせるべきではないでしょうか。今年7月、ノルウェーで青年が銃を乱射するテロが起きましたよね。これがアメリカなら、即「テロとの闘い」になったでしょう。ただノルウェーの反応は違いました。「我々に何が欠けていたのか、デモクラシー的な考えが足りなかったのか、一人ひとりが居場所を見つけられるような社会を構築できていなかったのではないか、もっと包容力のある社会にできないのか」という方向に行ったのです。私はその結論に心打たれるものがありました。日本がもし今の方向性のまま行ってしまえば、こういう部分が欠如することになってしまうのではないでしょうか。


【配信期間】2014年1月22日(水)正午12時〜2月10日(月)正午12時