証人テストに名を借りた偽証教唆? 石巻少年殺傷事件-弁護士 猪野 亨のブログ(2014年1月6日)

http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-939.html

朝日新聞に大きく報じられたのが「検察、裁判証言を指示か 宮城3人殺傷、密室で「予行練習」」(2013年1月5日)であり、検察官が偽証をそそのかしたのではないかという疑惑です。

朝日新聞は、この問題を背景に裁判員裁判があるのではないか、法廷での証人の証言が重要視されるようになったことを上げています。
従来であれば検察官が作成した供述調書の内容と異なる内容の証言がなされた場合には調書を証拠として請求する方法が認められています(裁判所が採用するかどうかは別問題ですが、従来は安易に採用されていました)。
そのような手続きをとらずに証言内容を押し付けるのは偽証教唆と言われても当然のことです。

しかも、この石巻少年事件は非常に多くの問題がありました。
少年事件でありながら裁判員裁判が行われ、審理は杜撰。少年の社会記録すら取り調べられていません。
少年事件を裁判員裁判の対象とすべきなのか」

さらに問題なのは、そもそも証人の記憶と異なる調書が何故、作成されているのかという点です。
この事件の場合には、被告人の殺人に対する計画性の有無でした。調書作成段階では、「計画性があった」が記憶違いで後から正しい記憶がよみがえって「やっぱり計画性はなかった」ということになるのかは非常に疑問です。


<証人テスト> 刑事訴訟規則に基づき証人尋問前の証人に事件の事実関係を確かめる手続き。取り調べ段階の供述調書を証拠採用することに弁護側が同意しなかった場合、検察側の証人を公判担当の検事が検察庁に呼んで実施する場合が多い。記憶が薄れたり緊張したりして公判進行が滞ることを防ぐことが本来の目的。取り調べと違って可視化の対象外。裁判員裁判の導入で、裁判所からの実施要請は強まっている。