秘密保護法 言わねばならないこと(12)政権は謙虚であれ 漫画家 小林よしのり氏-東京新聞(2014年1月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2014012902000122.html
http://megalodon.jp/2014-0129-1006-16/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/list/CK2014012902000122.html

安倍晋三首相はテレビなどで「報道の自由を保障する」と言い回っているが、だまされてはいけない。裁判になれば法律は条文の解釈をめぐる闘いになる。後でくっつけた「報道・取材の自由」への配慮規定はあくまで「配慮」であり、報道の自由を完全に保障する条文にはなっていない。

政府は、特定秘密保護法をつくるのは「米国から情報を入手するため」と説明するが、提供される情報は本当に正しいのか。イラク戦争大義とされた大量破壊兵器イラクになかった。米が謀略を仕掛けたトンキン湾事件のように、うその秘密かもしれない。

報道はそれを暴いて国民に知らせなければいけないが、この法律では「人を欺いて」暴こうとしただけで罪に問われる。秘密の保護は現行法で対処できる問題だ。一般人にまで網をかぶせる法律をなぜつくる必要があるのか。

保守の側はこの法律に反対する人を扇動的というが、わしはそう思わない。「戦前に戻るはずはない」ともいうが、過去の日本人は劣っていたのか。今の方が愚かではないのか。